教養の本

Books#13 『さとりをひらいた犬』

皆さんこんにちわ!今日も良い読書ライフを送っているでしょうか( ^ω^ )?

今回紹介する本は刀根健(とねたけし)さんが書かれた『さとりをひらいた犬~ほんとうの自分に出会う物語~』です。

この本は一言でいうと『本当の自分を生きるとはどういう事なのかを教えてくれる』本です。

毎日を同じようなことの繰り返しだと感じている方も多いのではないでしょうか?仕事に行き帰ってきて家の事をして少し空いた時間で好きな事をやって、眠りにつく。そして仕事に行く。私は現在このような生活の真っただ中にいます。この時間の繰り返しの中で、本当にこのままでいいのだろうか?と不安に駆られることがだんだんと増えてきました。

そんな時にネット上で本を見ているとこの本が目にとまりました。タイトルはさとりをひらいた犬ですが、サブタイトルの『ほんとうの自分に出会う物語』という所に興味を惹かれました。大人になってもっと自由に自分のしたい事をして生活をしたいと考えていましたが、今の生活は本当に自分がしたかったことなのか?そんな考えがずっとあったので、本書を手に取ってみました。

読んだ結果として、自分の中にない考え方が多くて非常に参考になりました。同じような悩みを持つ方には是非読んでもらいたい内容でしたので、その一部を紹介していきたいと思います。

目次

  • 著者と本の紹介
  • あらすじ
  • 本書をオススメする人
  • ここだけ押さえてほしいポイント
  • まとめ

著者と本の紹介

著者について

  • 名前:刀根健(とねたけし)
  • 1966年誕生。千葉県出身
  • 産業カウンセラー、TAマスターコンサルタント、東京電機大学理工学部卒業後、商社マンとして就職。その後は教育系企業で心理カウンセリングの資格取得コースの開発などを担当。企業や病院、官公庁でコミュニケーションやリーダーシップの開発の研修講師として活躍。
  • 2016年9月1日、肺がんステージ4と診断。
  • 2017年6月13日、脳転移治療の為入院。脳の他に両目、左右の肺、肺から首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、脾臓、全身の骨転移が見つかる。
  • 医師に『いつ呼吸が止まってもおかしくない』と告げられる。絶望的な状況の中で不思議な神秘体験をする。その体験後に奇跡的に回復。
  • 2017年7月末、診察で癌はほとんど消失。現在はその神秘的な体験をもとに講演、セミナー、執筆などで活躍中。
  • 著書に『ストロークライフのすすめ』(フォーメンズ出版)、『僕は死なない』(SBクリエイティブ)がある。
  • OFFICE LEELA代表。

本の紹介

  • 2021年12月28日初版第1刷発行
  • ページ数:約360ページ
  • 本の種類:人生寓話 物語形式
  • 第1章~第8章まであり、それぞれ章ごとに人生観や生き方についての教訓が散りばめられている。
  • 猟犬のジョンが主人公。1匹の狼との出会いから『ほんとうの自分』、『ほんとうの自由』を探す旅に出る物語。旅の目的地である聖地『ハイランド』を目指す中で、出会いと別れ、苦悩や喜びなどいくつもの困難が待ち受けています。いくつもの壁を乗り越えた先でハイランドにたどり着いたが、そこで見つけた『ほんとうの自分やほんとうの自由』とは何なのか?
  • 生きるとは何なのか?自由に生きるという事はどういうことなのか?ジョンと自分を重ねて考えていくと、自分の命と真剣に向き合ったことがあるのか、その事実を目の前に叩きつけられた感覚になりました。自分を問われる1冊だと感じます。

あらすじ

猟犬のジョンは帽子に刺した鷹の羽がトレードマークのご主人様に飼われていました。猟犬のチームのリーダーを務めていて、足が速く狩りの腕も他の犬より優れており、獲物を取った後のご主人様の笑顔とご褒美の干し肉が何よりのご褒美。

充実した日々を過ごしていたある日、いつものように狩りに出ます。ご主人様が銃を撃った後に、獲物に向かって走り出すジョン。他の犬を引き離して1番に獲物の元まで駆け寄りました。そこには1匹の大きな狼が大量の血を流して倒れていました。

死にかけている狼はうっすらと目を開けてジョンに話しかけます。狼の名前はダルシャ。ダルシャとの会話の中で、ジョンは本当の自分を生きているのかを問われます。飼われている自分は今満足しているのか?環境に流されて今の生活をしてるだけなんじゃないのか?

本当の自由と生き方を知りたいなら、自分の『魂の声』に聴いてみろと言われます。そして、それが知りたいなら北にあるベレン山を目指せと言い、ダルシャは力尽きました。

それから数週間、自問自答を繰り返した結果、本当の自由や本当の自分になりたいという答えが出ました。そう決断した次の日の狩りで、仲間の反対を振り切って、1匹で森の奥まで走ってきました。

そこからジョンの旅が始まります。旅の途中での経験をもとに本当の自分や自由の答えを探していく物語。読み手によって答えに対する考え方も違うのではないかと思います。そこも含めて、本を読み進めながら自分なりの答えを考えるのも面白いのではないかと考えます。

本書をオススメする人

  • 今の生活に不安を持っている人
  • 自分の将来に不安を抱えている人
  • 生きる意味に迷っている人
  • 本当の自分がよく理解できない人 など…

ここだけ押さえてほしい内容

本書の内容で、ここを知ってほしい!と思った部分や言葉をピックアップして説明していきたいと思います。ネタバレしないように物語の内容にはあまり触れないようにして、言葉をヒントに少しだけ私目線での独断と感性から説明していきたいと思います。

魂の声を聴く

本書の中で何度も繰り返して出てくる『魂の声を聴く』という言葉があります。特にこの言葉は最初から最後まで出てくるので、とても重要な言葉であることがわかります。

読んで字のごとくではありますが、これは『内なる自分の声に耳を傾ける』事だと感じます。

普段生活をしている中で、自分の心にフォーカスをあてる時間がどのくらいあるでしょうか?私は地方の病院で理学療法士というリハビリの仕事に従事しています。その関係から、仕事では『患者さん』、『同部署の人との関わり方』、『他部署の人との関わり方』について考えています。仕事が終われば『子供の事』、『奥さんとの事』、『親類の事』、『家庭全体の事』、『これからの事』など1日の内でいろんなことを考えているんだなと感心しました。

この記事を読んでくださっている方は、1日のなかでどんなことを考えて生活していますか?

そして、気づいてしまいました。『自分の事に関して何も考えてなくないか!?』と。

『自分の事は自分が1番良くわかってる!』という人がいます。でもそれって本当にそうなんでしょうか?少なくとも私自身は自信をもって返事できません。

自分の思考は、いつも自分の外側に向いている事にこの言葉から気づかされました。自分と向き合う時間を作れていないのに、自分の事を知ることなんてできないと思うからです。

この時点で私は『本当の自分や本当の自由についてわかっていない事がわかった』状態になりました。仕事と家庭の事で時間がない、空いた時間にテレビを観たりゲームをして時間を浪費していることに怖さを感じました。リラックスをする時間も大切ですが、自分の成長には1㎜もつながらない事をしていたなと感じました。

そんな生活をしていたから、もしかしたら私の中の魂が声を上げていて不安や謎の焦りのような感覚となって表れたのではと思いました。

皆さんは自分と向き合う時間を持てていますか?私はこれから少しの時間からでも自分と向き合える時間を作っていき、自分の魂の声に耳を傾けてみようと思います。そして、その声が聞こえたときにはじめて自分がどう生きたいのかがわかるのかもしれません。

私たちは3つのものから存在している

私たちの存在とは?というかなりザックリとした問いが第2章では出てきます。さまざまな価値観がある中で、ここでは一つの答えが出てきます。

私たちは『身体』、『エゴ(自我)』、『魂』の3つが合わさって出来た存在だという事です。どういうことなのか?それぞれ見ていきましょう。

身体

これは文字通り、自分の肉体を表しています。体がある事でこの世界に存在できています。そしてこの身体がこの世界を生きるための【乗り物】になります。この乗り物を大切にしないと、行きたい場所まで行けなくなります。そうならないように、自分の身体のメンテナンスをしなければいけません。身体が悲鳴を上げているのに、聞かないふりをして無理に頑張ってしまうと故障の原因となります。なので、お腹が空いたらご飯を食べて、疲れたら休養をしっかりとって、衰えないように運動をする事が大切です。身体を粗末に扱うと、かならずどこかに無理がきて故障してしまいます。それが【怪我】や【病気】となって身体に現れるのです。そうなると最悪の場合は死ぬこともあるので、体を労わる事は大切な事です。自分の事を真剣に考えてくれる人は自分以外にはいないので、日々体のお手入れを欠かさないようにしていきましょう!

エゴ(自我)

エゴとは【この世界を生き残るための機能】と本書では表現されています。例えば、狩りに出たとしたら、どこに行けば獲物を取れるのか?獲物を追い込む方法は?敵から身を守るにはどうすればよいか?仲間との関係性を築くには? エゴとは自分にとってより良い行動を行動をしていき、厳しい世界で生き残る為に考えて行動する機能の事を指しています。エゴの機能はとても大切なものですが、欠点もあります。それは、今目の前の事と自分の事だけしか考えられないという事です。自分中心でしか物事をとらえることできません。エゴイストやエゴイズムという言葉そのままの意味です。皆さんの周りにもそのような人はいないでしょうか?これは自分中心の考えだけで好き勝手に生きている事になります。しかし、これは『ほんとうの自分』を生きている事になるのでしょうか?本書ではただ生存している事と、本当に生きている事は区別して考えられています。このエゴ中心で生きている人はどちらになるのでしょうか?私個人としては本当の自分を生きているとは思いませんが、皆さんはいかがでしょうか?

3つの中で最も理解が難しくて1番忘れがちになるものだと思います。先ほど言ったように、生きていくだけであれば、身体とエゴだけでもいいんです。そして、今を生きる多くの人は体とエゴだけが機能していて魂が機能していないといいます。身体は乗り物、エゴは乗り物を導く御者に過ぎません。そして、魂こそが私たちの本質であると本書では語られています。この魂が何なのかは2章では語られませんので、ざっくりとした内容だと『全体の中の自分』というイメージで自分の役割を全うすることが本当の自由という事なのかなと感じました。全体を通して、自分という存在は、自分であって全体の一部という考え方がついて回ります。難しいですが、今はこのような表現しかできないので申し訳ありません。

この3つのどれが欠けてもだめですが、その中でも『魂』に関しては、自分と向き合って始めて声が聞こえてくるものだと感じます。

そして、この魂の声を聴いて行動するという事にはそれ相応の責任もついてきます。周りのアドバイスと、自分が本当に考えてやりたい事というのは違う事も多いのではないでしょうか?周りに流されて行動すれば、失敗してもその責任を周りのせいだと考えることも出来ますが、人と違う道を歩むことには勇気が必要だし、その道を選択した自分に対しての責任があります。

恐れの正体を知る

本書では、ガジョが恐怖心から動けなくなるシーンが出てきます。ですが、恐れから逃げるのではなく正面から向き合う事で、最初に抱えていた恐怖心から解放されるという描写が描かれています。

皆さんは恐怖に感じることって何でしょうか?

上司や先生に怒られることでしょうか?他人と比べられる事でしょうか?自然災害に合う事でしょうか?恐怖心にかられることは人によって違うので千差万別ではあります。

本書で語られる恐怖について、『恐怖とは自分の心の中で作っているもの』と書かれています。

例えば、目つきが怖い人、言い方がきつい人、身長高くてガタイが良い人など、見た目で少し怖そうだなと感じたり、前評判だけを信じて怖そうだなと感じてしまうなどもあると思います。ですが、その人は本当に怖い人でしょうか?話してみるとすごく楽しい人であったり優しい人だったりする人は多いと感じます。たまに評判通りという人もいますけど・・・

他には、新しい事にチャレンジしたいけど失敗が怖いから最初の1歩が踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。ですが、踏み出したときは『こんなもんか』と感じて、なんで今まで悩んでいたのかと感じる事も多いです。

恐怖心とは自分の中に作り出される幻想だと表現されています。なのでもし、恐怖心を感じながら生きるという事は、幻想の中を生きるという事になるのではないでしょうか?自分でその恐怖心を作っていると気づいたときにはじめて、本当の自分や本当の自由が見えてくると書かれています。

私はびびりな性格なので、ちょっとでも怖いと感じたらやめるという事を繰り返してきました。思い返してみたら、恐いからと感じて諦めた事がいっぱいありました。そして、その時チャレンジ出来なかったことに対しての後悔も同じ数だけあります。

しかし、この本を読んで怖いと感じる心が自分が作った物であれば、それをコントロールする事も出来ると学べました。恐怖心を感じたときは、自分の心の声を聴くチャンスでもあるかもしれない事に気が付けました。

これからは恐怖心が出てきたときは逃げるのではなく、なんで怖く感じたのか?どういう選択をしたら後悔が少ないのか?向き合って考えてみようと思います。

エゴに囚われない為に

エゴとは先ほど説明しましたが、自分の事を中心に心と体が起こるものだと説明しました。そして、そのエゴのせいでがんじがらめになって苦しんでいる人が多いことが学べます。

誰でも失敗や後悔は多かれ少なかれ経験されていると思います。ですが、人によっては失敗や後悔をずっと引きずっている人もいるのではないでしょうか?

失敗や後悔を思い出すだけでも苦しく感じる事もあると思います。ではなんで苦しいと感じてしまうのでしょうか?それは本書では、『苦しみは目の前で起きている体験を受け入れられず、それに抵抗しているから苦しいと感じる』と書かれています。

私は、理想の自分と現実の自分にギャップを感じたときや、人と比べて自分が劣っていると感じるときなどに苦しいと感じてしまいます。

苦しいと感じるのは、心の弱さから来るものだと言います。しかし、たいていの人は弱いものです。では、心を強く持っておくにはどうしたら良いのでしょうか?

その答えが本書に1つの答えが書かれていました。それは『自分が弱い存在だと知っている事』です。人から良く見られようとして、弱い部分を隠して自分を取り繕い、弱い部分を見ないように蓋をしてしまっている人も多いと思います。

いい所と悪い所も合わせて自分なのに、です。本当に強い人というのは自分の弱い部分も受け入れられる人の事を言うのでしょう。そういう人は他の人の弱い部分に寛容な心で接することができたり、共感できたりする『人の器』が大きい人になれるんだと思います。

弱さを知る事で強くなることを学べた気がします。

私たちには3つの価値がある

死に様(しにざま)って皆さん言葉を知っていますか?これはその人がどのように生きてきたのかを反映する言葉で、どんな風に死んだのかで、その人の生き方がわかるという事です。同じような言葉で生き様(いきざま)という言葉がありますね。

たとえ人に認められなくても『自分らしく、本当に大切だと思ったことに命を削って生きたのか?』が大切だという言葉が本書の中に出てきます。

”自分らしく”というのが難しいと思いますが、私たちには3つの価値がある事が書かれており、この3つの価値を自分で高めていく事で、自分らしさを作っていけると感じました。

それは『創造』による価値、『体験』による価値、『態度』による価値の3つです。それぞれどういうことなのか説明していきます。

創造による価値

自分の行為によって何かを作り上げること。これは物を作ることではなくて、自分の行動の結果何かを成し遂げることを指します。これは成功体験によって自分の価値を作っていく事と言ってもいいかもしれません。

体験による価値

ここでいう体験は、生きている喜びや感動を感じた瞬間の事を指しています。

例えば、夢に向かって歩き出した瞬間のドキドキする感じや、絶景が目の前に広がった時の感動や喜びなど、自分の行動によって魂の底から湧き上がってくる何かポジティブな感情を味わう事を言うのだと思います。

態度による価値

これは、3つの中で最も難しいかもしれません。態度とは、どんな場面においても自分の魂の声を聴き、その声に従って誇り高く、愛に満ちた自分でいること。『これが私だ』という私で在ることと本書では書かれています。1人よがりな考えでいるという事ではなく、自分の中の軸となる考え方をちゃんと持ち、ぶれることなくその考えを貫けるかという事を言っていると私は感じました。優しい自分で在りたいなら、自分の周りの人にどんな状況でも優しさをもって接していけるのか?他者を助けられる自分でありたいなら、どんな状況でも他者の為に動ける自分であるか?たとえ『創造』や『体験』が出来なくなっても最後まで高められる不変の価値、これが『態度による価値』だという事です。

価値を自分で作っていく事は決して簡単ではないと思います。しかし、その最初の1歩はやはり自分の魂の声を聴くところから始まり、どんな自分で在りたいかを自問自答していき、それを行動に移すという事が、結果としてこの3つの価値を高めていく事に繋がってくると感じました。自分と向き合う事がここで改めて大切だと気づかされました。

まとめ

今回は物語の中身は省いて、本書でどのような事が伝えられているのかを紹介してみました。特に自分が大切だなと思う所をピックアップして紹介しましたが、本書ではまだまだたくさんの内容が詰め込まれており、この場ですべては紹介しきれませんでした。

また、物語の流れを追って言葉の意味を考えると自分の中に入ってきやすいと思うので、もし自分で読んでみたいと思った方は是非本書を手に取ってみて下さい。読みやすいので一気に読めちゃいます(^_^)

では最後に今回の内容をまとめて終わりにします。

  • 自分と向き合う時間を作り、自分が何をしたいのか魂の声を聴く
  • 恐怖心は自分で作っている。抜け出すにはなぜ怖がっているかを考える。
  • 自分の弱さも含めて自分だと受け入れる。
  • 3つの価値を高めていけるように、ぶれない自分だけの軸をもって生きていく。

以上となります。今回は『さとりをひらいた犬』を紹介しましたが、最後にガジョはさとりをひらいて本当の自由について自分なりの答えを見つけ出しました。しかし、本当の自由の答えは読み手の数だけあるのではと私は感じました。なので、本書を読まれた方はどう感じたのかコメントなどで教えてもらえたら嬉しいです。

長文になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

ABOUT ME
KENP
30代で2児の父。子供が誕生してから、自分の一般常識や知識の低さに焦りを覚えて読書をするようになる。読んだなかで将来子供の為になりそうな本を紹介したいと考えブログを立ち上げる。年間読書20~30冊くらい。 趣味:読書・麻雀(オンラインゲーム)