健康の本

Books#14 『眠る投資』

皆さんこんにちわ( ^ω^ )

今日も良い読書ライフを送れているでしょうか?

今回紹介する本は医師と調理師の資格を持ち、東京TMSクリニック院長の田中奏多(たなかかなた)先生が書かれた『眠る投資~ハーバードが教える世界最高の睡眠法~』です。

この本は一言でいうと『質の良い睡眠をとる為の方法を教えてくれる本』です。

皆さんはしっかり睡眠をとれていますか?寝つきが悪くて眠れない、忙しくて寝る時間が少ない、眠る時間がもったいないと感じて夜遅くまで遊んでしまう、など色々な理由から睡眠時間が少なくなっている方も多いのではないでしょうか?

眠る時間が少なくなると、心、脳、身体に支障をきたしやすい状態となって、仕事や勉強など日常でのパフォーマンスが低下しやすい状態になります。

本書では、医師の目線で脳の働きや体の疲れなどの話をされていたり、投資というタイトルから度々投資用語を使って比喩しながら説明されています。難しい用語はあまり出てはこないですが、投資用語がわからない方はたとえ話が少し入ってきづらいかもしれません。

今回は本書を要約して、睡眠の簡単な理解と質の良い睡眠をとるための方法、食事、運動などに触れながら簡単に紹介していきたいと考えています。

目次

  • 著者と本書の紹介
  • 睡眠の基礎知識
  • 睡眠不足の影響
  • 質の良い睡眠をとる方法
  • まとめ

著者と本書の紹介

著者について

  • 名前:田中奏多(たなかかなた)
  • 性別:女性
  • TMSクリニック院長(医師・調理師)
  • 社会環境で起こる心の不調に対する治療サービスが必要と考え、東京・神田に『働く人の薬に頼らない心のクリニック』ベリスクリニックを2014年共同創設する。
  • ハーバード大学TMSコースを修了。2019年の時点で日本人に対する1000症例以上のTMS治療を行い、精神科教授、神経内科専門医、脳外科経験を生かした臨床工学技士チームで『日本人に合わせた最先端のTMS治療』を提供している。
  • 2020年5月、東京・恵比寿にTMS治療専門クリニックである東京TMSクリニック開院。

 

本の概要

  • 本書では昼の生産性を高めることで良質な睡眠をとるという事にフォーカスをあてた本となっています。
  • 睡眠については多くの書籍が出されていますが、本書は良い睡眠をとるために、1日の過ごし方に言及しています。ただの方法論ではなく、よりよく眠るために日中どのように過ごせばよいのか、食事と睡眠の関係、運動と睡眠の関係について触れています。睡眠に関して悩みを持っている人には自分と当てはめてみながら読んでみるとよいかもしれません。

 

本書をオススメしたい人

  • 寝つきが悪い・眠りが浅い人
  • 生活が不規則で生活リズムが整わない人
  • 仕事や勉強などのパフォーマンスを上げたい人
  • 寝ても疲れが取れない人  などなど睡眠に関して悩みを持っている方全般

睡眠の基礎知識

睡眠は生物であれば必ず起こる現象です。これは動物だけではなく植物でもそのように言えるようです。すべて解明されたわけではありませんが、マメ科の植物では夜に葉が閉じて、朝に葉が開く『就眠運動』という現象も確認されています。

では、なぜ眠る必要があるのでしょうか?

いや、愚問だなと思った方もいるかと思います。疲れたら寝て、回復するためですよ!と思われた方、だいたいそれで正解です。本書の内容に入る前に、睡眠についてもう少し詳しく説明してからの方が内容が入りやすいと思いますので、少し説明しますね(^_^)

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という2種類があるというのはなんとなく聞いたことがあるかと思います。ではこのレム睡眠とノンレム睡眠は具体的にどういった睡眠なのか?以下の表をご参照下さい。

レム睡眠 ノンレム睡眠
眠りの状態 浅い 深い
脳の活動 活動部位が多々ある ほとんど休養中
筋肉 弛緩状態 軽い緊張状態
自律神経 交感・副交感神経が不安定に入れ替わるような状態 副交感神経が優位でリラックスした状態
眼球運動 速い運動 ゆっくりした運動
血圧・脈・呼吸 変動しやすく上昇することもある 普段よりもゆっくり、低下した状態
目覚め 良い 悪い

それぞれの特徴がわかったところで、次はレム睡眠とノンレム睡眠は、それぞれ周期について説明します。

レム睡眠とノンレム睡眠は寝ている最中に交互に入れ替わります。一般的には、90分〜120分で1周期、それが夜寝てから朝起きるまでにだいたい4周期あると言われています。最初のノンレム睡眠が1番深い眠りに入り、周期を重ねるたびに段々と寝るりの深さは浅くなっていく傾向があります。

また睡眠中は成長ホルモンが出ることは皆さんご存知だと思います。成長ホルモンが出るのはノンレム睡眠に入っている時だと言われています、しっかり4周期のうち、特に1回目と2回目の周期に成長ホルモンはたくさん出るようなので、その間に目が覚めないように眠った方が脳と体にとっても良いことがわかります。

ちなみに、成長ホルモンは子供では身体と脳の成長を促す作用があります。そして大人にとっても大切な役割があります。それが日中の心身の疲れ、ストレスを解放、組織を修復、老化の進行を抑制する働きです。

そして、成長ホルモンが分泌されやすい時間帯も存在します。その時間が夜10時〜深夜2時の間、いわゆる睡眠のゴールデンタイムと言われる時間です。この時間に寝れてるかどうかで、睡眠の質も変わってくることがわかりますね。みなさんはこのあたりの時間帯にちゃんと眠せていますか?

パフォーマンスを上げたいと考えている方は、寝る時間について少し考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

様々な理由から睡眠不足で悩んでいる方もいるかと思います。仕事や学業で忙しいため、睡眠を削ったり、睡眠に時間を割けないという人もいるのではないでしょうか?最近は過労で居眠り運転して事故を起こしたというニュースも度々見かけるようになりました。

どうしてこのような事が起きるのでしょうか?睡眠不足という状態、実はお酒を飲んでほろ酔い状態になった時と同じくらい覚醒度が低下することがわかっています。

目が覚めてから17時間くらい経過したら、日本酒1合を飲んだ程度まで脳の反応性が低下してしまい、ミスが起こりやすい状態になります。

つまり、睡眠時間が少ない状態で長い作業をすると、お酒を飲みながら仕事や勉強をしてる状態と同じになってしまいます。これではいいパフォーマンスを出す事が難しい事がわかりますし、ミスが多くなるという事も納得です。

しかし、ただ長く寝れば良いかというと、そういうわけでもありません。平日に睡眠時間が少ないからといって、休日『寝溜め』といって昼前まで寝るという方もいるのではないでしょうか?しかし、パフォーマンスを上げて疲れにくい身体になる為には、夜にどう休むかだけではなくて、日中にどう動けるか?何をするか?にフォーカスを当てて睡眠をとることが重要だと著者は言われています。

睡眠不足の影響

皆さんは、寝る間も惜しんで何かに取り組んでるということはありませんか?仕事や趣味など生き甲斐があって睡眠を削るという事をやりがちです。私も昔は2〜3時間しか寝ずに学校や仕事に行くなんてこともザラにありました(主にゲームとかで…)。

いやいや、私はちゃんと寝てますから!寝るのが大好きでたくさん寝る様にしてます!という方もいるかもしれません。ですが、本当に睡眠は足りてるでしょうか?他の国と比べたら日本の睡眠は少ないと言われています。何せ日本は【寝不足第1位】の国なんです。

世界の睡眠時間と比較した時にOECD(経済協力開発機構)2018年の国際比較調査で、日本は平均睡眠時間7時間22分と世界ではぶっちぎりのワースト1位となっています。ちなみにOECD平均は8時間25分で、世界の先進国などと比べると国民は平均1時間睡眠時間が少ないことがわかります。

OECDってなに?

OECD(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略て経済協力開発機構のこと)とは、世界中の経済、社会福祉の向上を促進するための活動を行う国際機関で、1961年に設立。その前身は1948年に欧州16カ国で発足したOEEC(欧州経済協力機構)です。本部はパリにあり、欧州を中心に、日米など先進38カ国が加盟しています。
世界の経済的、社会的、環境的な課題を共有し、その解決策を探るため、先進国間の情報交換、対話の場となっており、主に経済成長、貿易自由化の拡大、途上国支援に貢献すべく、各国政府とともに取り組んでいる。

睡眠時間が少なくなることで起こる身体や心の不調は数多くあります。それは病名がつくものから、なんか今日調子が悪いなぁ、みたいなことまでさまざまです。どんなものがあるか2つみてみましょう。

①うつ病

最近はゲームも進化してきて、非常にリアルで、話の内容も面白いものが増えています。私は昔からゲームが好きで徹夜してゲームしてたなんてことも多々ありました。

しかし、そんな状態で学校や仕事に行ったら、頭はぼーっとしており、日中はうとうとする事が多かったです。そんな日が続き、休日になると昼まで寝て、昼はダラダラ過ごす、また月曜日になるが体がだるいなぁと感じながら始まる1週間。

というサイクルを経験された方も多いのではないでしょうか?しかし、こんな状態では心身の不調が出てきて仕事でもミスが多かったり、パフォーマンスが低下してしまうなど負のスパイラルにハマってしまい、結果としてうつ状態になる人も多いと言われています。

日本では、女性の5人に1人、男性の10人に1人が生涯に一度はうつ病になると言われています。診断がついてる人だけでも128万人、隠れうつと呼ばれる受診をしてないがうつ病の人も同等程度いるのでは?と言われています。うつ病は決して珍しい病気ではないのです。

②コミュニケーション能力低下

本書の中で睡眠と脳の働きをみた研究が紹介されてました。日勤時と夜勤時において5種類の顔写真を提示して写真への反応をみる実験をした結果、夜勤時は嫌悪とストレスの写真に対して感受性が低下傾向、特に嫌悪顔に対する感受性が優位に低下していたことがわかりました。

このことから、睡眠が乱れることで相手の感情を正確に捉えて認知する観察力が落ちる事が示唆されています。つまり、睡眠不足になると『他人の感情を読み取る能力』が低下しやすくなるという事です。

これは夜間時の対人サービスや管理職などの仕事がうまくいきづらいということになります。

そして、単純に6時間睡眠が7日続く事で、1晩の徹夜状態と同じ脳機能の水準になるという報告もあるようです。

自分が思ってる以上に睡眠不足は脳や体に影響を与えています。ですから、できれば8時間ほどは睡眠が取れるように生活を工夫していきたいですね。

質の良い睡眠をとるために

ではここからは、夜に良い睡眠を確保するために、日中してほしい事などを簡単に紹介していきたいと思います。

どれも簡単な内容ですので、日常で取り入れやすい事も多いかと思います。また、皆さんも聞いた事があったり、実際には無意識にやってたなんて人もいるかと思います。

もしやれそうな事があれば積極的に生活の中に取り入れてみてください。

睡眠法

朝にしたい睡眠投資

①朝日を浴びる

太陽の光を浴びることで、脳は体内時計にスイッチが入ります。太陽の光を浴びると睡眠を司るメラトニンが低下して、その14〜16時間後に再び上昇してきます。このことから、覚醒と眠りのスイッチは朝の光を浴びることで発動するのです。

毎朝同じ時間帯に5分程度日の光に当たると、睡眠のリズムが安定するようになります。

しかし、朝の時間はただでさえ時間がない!という事が多いと思います。なので、ながら日向ぼっこがおすすめです。これは私が勝手に名前をつけましたが、朝ごはんを窓側の席でとる、歯磨き中は日に当たるなど、習慣の1つに日向ぼっこを一緒に取り入れてみると時間を割かないで睡眠を整えられる、まさに一石二鳥ですね。是非やってみてください。

昼にしたい睡眠投資

①計画仮眠(昼寝)

起床してから4時間後は1番頭が冴えている時間帯になります。しかし8時間後になると生理的に眠気が起こり、脳のパフォーマンスが低下しやすくなります。朝6時起床の場合は14時頃に眠気が来るといった具合です。皆さんも経験があるかと思います。

お昼ご飯後の血糖値の変化によるものもあるかもしれませんが、起床してから8時間後という条件でも体内の睡眠リズムによって眠気が出るという事がわかっています。

もちろん個人差はあると思いますが、お昼にどうしても眠くなる!という方には『計画仮眠』をお勧めしています。いわゆる昼寝ですが、最近は仕事のパフォーマンスを向上させるために企業もこの計画仮眠を取り入れるという動きもある様です。そして、本書では計画仮眠を上手にとるコツとして5つ記載があるので、紹介したいと思います。

  1. 眠くなる前に計画仮眠をとる
  2. カフェインを含むものを飲む
  3. 仮眠時間は15分〜20分にとどめる
  4. 椅子に座ったままうつ伏せになり、首を固定する
  5. 目を閉じるだけでもいい(それだけでも脳は休まるから)

計画仮眠の注意点としては、一度に30分を超えて寝ないという事です。30分を超えて寝てしまうと深い睡眠に入りやすくなり、夜の睡眠に影響が出てしまいます。なので、お昼寝は15分程度に抑えておきましょう。

夕方したい睡眠投資

①深部体温を上げる

人は深部体温が下がると眠たくなり、逆に上がると覚醒します。夕方に深部体温が上がることで、眠る前には上がった体温は下がる方向に行くので、夜の深い睡眠を作りやすいのです。

そこで、夕方に軽い運動を入れることを本書では薦めています。15分程度の早歩きや、階段を使った移動、丸くなった背中を伸ばすなど、些細なものでも構わないとのことです。

1日の体温のリズムを安定させるには体温を維持するために、ある程度の筋肉量が必要となってきます。普段から体を動かす習慣や、筋トレなどで体温調整のベースを作っていると、良い睡眠がとりやすい体になります。

②16時以降は寝ない

仮眠計画を実行してもなお、眠くて頭が働かないという時もあります。その場合はそもそもの睡眠が足りていない可能性があります。その場合は最大3時間ほどの仮眠まで許されています。ただし、それも16時までの間にと言われてます。16時以降の睡眠は夜の睡眠に影響があります。

どうしても眠気があるという人は、16時以降は目をつむるだけ、15分以内での仮眠などに留めた方が良いでしょう。

夜にしたい睡眠投資

①眠たくなったらベッドに入る

実は就寝の2〜4時間前は1日の中で最も眠りに入りづらい時間帯という事みたいです。確かに、昼間にめちゃくちゃ眠かったのに、夜になると目が冴えてるだという事が私はあったなと思います。

先程紹介したメラトニンですが、朝日を浴びてから14〜16時間後に分泌されます。しかし、その前の2〜3時間は最もメラトニンの量が少なくなっているので、まだメラトニンが少ない状態でベッドの中に入っても中々寝付けないのです。

こんな時によくやりがちなのは、寝れなくても横になって眠くなるのを待つ、眠くなるまで携帯を触ってるという人もいるのではないでしょうか?

本書では、眠気がない時はベッドから出ることを勧めています。そして、部屋全体の明かりは落として、デジタル機器は目に入れずに、手元だけライトで照らして本を読んだり、ラジオを聴くなどを勧められてます。

ベッドに入ってから他の作業をすることで、脳はベッドに入る=眠る、という認識ではなくなってしまいます。ベッドは眠るところだと脳に認識させるためにも、眠くなってからベッドに入り、眠るだけにした方が寝つきが良くなるとも言われていますので、眠くない時は思い切って起きて、リラックスした時間を取るように心がけましょう。

②寝る2時間前までに電気を消してお風呂に入る

入浴によって一時的に体温を上げると、約1〜2時間後に熱放散が起きて深部体温が下がりやすくなり良い睡眠が得られやすいです。

なので、眠る2時間前にはお風呂に入ることを勧めています。注意としては、お湯は熱すぎると交感神経優位となるので、少しぬるめくらいが睡眠の質を上げるためにはいいかと思います。

また、浴室の電気を消すのは、メラトニンと関係があります。強い光はメラトニンを低下させてしまいます。お風呂の照明は意外と近くにあったり明るいものも多いので、できれば脱衣所の電気だけつけて少し暗い中で入浴すると、体は眠る準備に入っていきやすいという事です。

③お酒を飲みすぎない

よく、お酒を飲む人で『飲まないと眠れないんだよね』と言われる人がいます。これは確かにそうで、寝付き自体は良くなると言われてはいます。しかし、浅い眠りになりやすいので、睡眠の質で言えば悪くなってしまいうようです。

また、アルコール耐性は最短3日でできるとも言われており、入眠効果も弱くなりやすい事がわかっています。つまり、寝つきが良くなるのもお酒を飲み始めた頃だけという事です。なので、寝ようと思ってお酒を飲んでいると、だんだんとお酒の量も増えていき、睡眠の質は下がります。そして日中の疲労や倦怠感も強くなりやすい状態になります。『生活習慣病としてのうつ』に発展するケースもあるので、寝るための、お酒は注意が必要です。

しかし、お酒が楽しみという人も多いと思うので、著者はその場合、お酒とお水の量を1:1の割合で飲むことをお勧めします。

どうしても寝酒がやめられない!という人は、医師へ相談する事も1つの手です。

お酒を一時的に睡眠薬に変えたり、節酒(減酒)外来の受診、また、カウンセリングと減酒薬(飲酒量低減薬)を組み合わせるなどの治療も有効性があるみたいです。現在ではいろいろな治療法が確立されてきてるみたいなので、病院には抵抗がある方も、悩んでる方はぜひ一度受診することをオススメします。

食事法

ここでは、睡眠の質を上げるための食事の方法についていくつか紹介したいと思います。どれも簡単に実践できる内容ですので、やれそうなものからチャレンジしてもらえたらと思います。

①朝ごはんを食べる

人には中枢と末梢の2つの体内時計があります。中枢の体内時計スイッチは、先程紹介した『朝の太陽の光』でした

では末梢の体内時計のスイッチはどうすれば入るのでしょうか?その答えは『朝ごはんを食べること』です。

朝、昼、夜のご飯でどの食事が体内時計の調整に有効か調べた時間栄養学の研究があり、朝ごはんのみが体内時計の変化に影響を与えたという結果が出ているということです。

ここで大切なことは朝ごはんをたくさん食べることではなく、『しっかり摂る』ということです。朝からガッツリ食べると腸に負担がかかり疲労感や血糖値スパイクなどが起こり眠くなるなどの症状が出るかもしれません。必要なのは空の腸や肝臓に『刺激』を入れることなので、少しでもいいから食べることが大切だということです。

朝日を浴びて中枢の体内時計と、朝ごはんを食べて末梢の体内時計を同調させることで、脳と身体がスムーズに動き仕事や勉学のパフォーマンスが向上します。また余談ですが、アメリカの食生活パターンと肥満度危険の関連を調べた結果、朝ごはんをたべない人は食べる人の5倍肥満になりやすい事がわかっています。このことからも、朝に少しお腹に入れる方がいい事がわかりますね。

②朝は温かいもの!夜は分割食!

  • 朝→先程は朝ごはんを食べることの重要性について書きましたが、次はどんなものを食べるのがいいのかに言及していきます。先に結果を言うと『温かいものを食べるのが正解』と言われてます。人は体が温まった時に活動的になります。なので、朝に温かいものを食べることで日中の活動がスムーズにできるようになりやすいということです。
  • 夜→夜では『腹八分目』を目安に、消化に負担がかかりやすい肉類や揚げ物はなるべく避けて、魚や卵などでタンパク質を摂ることを勧めています。仕事や学校が終わり、疲れて帰ってきた時は、お腹ぺこぺこでガッツリ食べたい!と思う人も多いと思いますが、食べ過ぎるとそれだけ胃や腸などの消化管の活動が活発になってしまい深部体温が下がりづらくなります。深部体温が下がらないと眠くなりづらくなり睡眠の質が悪くなりやすいです。なので、夜は消化が良いものを腹八分目程度で食べる事がいいんですね。
  • 夜が不規則な人は分割食もオススメ→夜に腹八分目という考えは変わりませんが、夜に忙しくてご飯を食べる時間がとれないという方もいるかと思います。そんな方は『分割食』がオススメです。これは時間を分けて夜ご飯を食べるというものです。例えば、夕方におにぎりやパンなどを間食して、帰宅後にサラダやスープなどの消化に良いものを軽く摂って胃や腸に食べ物がある時間を、短くする事が大切です。

③トリプトファンをとろう

睡眠ホルモンのメラトニンは幸せホルモンのセロトニンから作られます。そして、セロトニンは『トリプトファン』から作られます。脳のセロトニンは食べたトリプトファンの量に影響されるみたいです。

トリプトファンは必須アミノ酸と呼ばれており、体内で作る事が難しく食事から摂取する必要があります。

セロトニンは腸に90%、血液に8%、残り2%が脳にあります。ここで大切なのは、腸のセロトニンが脳に取り込まれていないという事です。脳には血液脳関門(BBB:Blood-brain barrier)というバリアがあり、そこで脳に通すものを選別します。そして、腸のセロトニンはこの関門を通してもらえない事がわかっています。ですが、トリプトファンはこの関門を通っていけるので、脳の中でトリプトファンをセロトニンに変える必要があるのです。

しかし、ただトリプトファンだけ撮ればいいのかと言えばそうではありません。難しいことは省きますが、トリプトファンが脳内に運ばれるために、炭水化物も一緒にとることが推奨されています。

ちなみに、トリプトファンは野菜や果物よりも『肉、魚、卵、豆、乳製品』と言ったタンパク質に多く含まれています。このことを踏まえて、著者は患者さんに『お味噌汁、魚定食、バナナ』を勧めることが多いようです。

睡眠の質を向上させるため、①〜③を参考に朝は温かいもの、夜は腹八分目で消化に良いもの、タンパク質を意識して摂ることでトリプトファンを摂取する。これらを生活の中に組み込むことで寝つきが良くなって、日中のパフォーマンスが向上するかもしれないですね。

運動

少し体を動かした時に、なんか気分がスッキリしたという経験はありませんか?近年運動には体力・筋力の向上やダイエットだけではなく、メンタルヘルスにも効果的という事が医学的にわかってきました。

なんとなくメンタルヘルスにいいのはわかるけど、なぜそうなるかわかっていた方がより運動に身が入ると思います。運動する事で心が安定するメカニズムについて紹介していきましょう。

①脳のセロトニンが増える

脳の中でセロトニンは海馬の神経新生を促進し、抗うつ効果をもたらしてくれます。

運動する事で脳内にトリプトファンが増えて、幸せホルモンのセロトニン濃度が上がります。食事でトリプトファンを増やすだけではなく、運動をする事でさらに脳にセロトニンを増やす事ができるという事です。

②脳のネットワークを調整

考え事をする時に、脳は2つの側面を持ち合わせています。1つは集中力や意志を持って何かに取り組んでいる時のCEN(Central Executive Network)と、色々なことを考えたり(本書ではぐるぐる思考と表現されている)、何かひらめいたりする時のDMN(Default Mode Network)があります。

運動をする事でCENとDMNを調整しやすくなるという事みたいです。運動する事でぐるぐる思考になりすぎないように調整してくれたり、運動中は余計なことを考えずに体を動かすことに集中すると思うので、運動中はぐるぐる思考から離れる事ができるのです。

常に何かを考えるということは、脳にとって負担が大きい状態なので、脳より体にフォーカスを当てることで、脳が休まると考えてもいいかもしれません。

③ストレス下での自律神経活動の安定化

本書では有酸素運動を行うことが推奨されています。不安を感じる時はストレスがかかっている状態です。不安には状態不安(ある特定の時点で感じている不安)と、特定不安(その人が不安になりやすい傾向)があり、その両方に効果が認められています。

運動は不安そのものを減らす効果と、不安に対しての感受性を減少させて不安になりにくい心身を作るために最良の効果があります。

本書では、簡単に取り組めるウォーキングが進められています。1日6000歩を目安にウォーキングをするか、1日15分程度の早歩きをすることがおすすめされています。もちろん運動の時間をとって30分や1時間程度の時間を確保できればそれに越したことはありませんが、忙しくて運動に割ける時間がないという方も多いと思います。

15分の運動も大変だという時は、運動の分割もOKと先生は言われています。これは、1日のうちでトータル15分くらい早歩きしていればいいという考え方で、5分くらいの早歩きを3回に分けてするだけでもいいので、仕事の合間に少し移動を早歩きで行うといったことを意識するだけでも1日のトータル15分くらいになるのではないでしょうか?

とっつきやすい内容なので、まずは1日15分を目標に早歩きから始めてみてください。そこからもっと体を動かしたいと思えたら、運動の時間が確保できるようにしてみるのもいいともいます。

まとめ

今回は田中奏多先生が書かれた『眠る投資』についての内容を紹介しましたがいかがだったでしょうか?

日頃のパフォーマンスを上げるためには、いかに質の良い睡眠を取れるかが重要となってきます。そして、本書では質の良い睡眠をとるためには日中の過ごし方が上質な睡眠を取るためには必要だという観点から、1日を通してどんな過ごし方をすれば寝つきが良くなり質が向上するかという目線で書かれてました。眠るためのテクニック本は多くありますが、1日の生活を見直して睡眠の質を上げましょうというような内容の本は始めてでしたので、睡眠に悩まれてる方は是非読んで頂いて内容を実践して頂ければと思います。

私自身は、寝つきは良いものの日中眠気に襲われる事が多くて仕事への集中力や生産性が午前に比べると午後に下がっている印象でした。

本書内での朝の活動は無意識に出来ている内容でしたが、昼や夜の内容は出来ていないと感じたので、これから少し生活の中に取り入れてみようかと考えています。

仕事のパフォーマンスが上がらないと感じていたり、日中常に眠たいなど感じる方は是非本書を手に取って読んでいただきたいと思います。

今回も長文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
KENP
30代で2児の父。子供が誕生してから、自分の一般常識や知識の低さに焦りを覚えて読書をするようになる。読んだなかで将来子供の為になりそうな本を紹介したいと考えブログを立ち上げる。年間読書20~30冊くらい。 趣味:読書・麻雀(オンラインゲーム)