今回紹介する本は著者:ジョシュア・ベッカーさんの『より少ない生き方 ~ものを手放して豊かになる~』という本です。
こちらの本は一言でいうと”物を少なくして自由な生活を手に入れる方法を学べる本”です。
最近はミニマリストという言葉を耳にする事も多くなってきたと思います。著者はある事をきっかけに物を減らしてミニマリストになると誓い、そこから人生がいい方向に大きく変わり、より自由な生き方ができる様になったと書かれています。
この本を読むと自分もいらない物を処分して自由な生活を送りたいと思わせてくれます。最近は便利な物も多く、ついついあれもこれもと買ってしまいますが、自分の今まで行ってきた消費行動が間違っていたなと気づかされました。これからこの本で私が特に気づきや学びがあった部分を紹介したいと思いますので、お付き合いいただけると嬉しいです。
目次
- ミニマリストについて
- 物を手放すことのメリット
- 消費しない為の戦略
- 物を手放す方法
- まとめ
①ミニマリストについて
ミニマリストやミニマリズムという言葉は皆さん聞いたことがあると思いますが、皆さんはこれらの言葉でどんなイメージをもっていますか?
『あんまり物を持たないで生活している人』『すごい綺麗好きで潔癖な感じなのかな?』『物を置かな過ぎて殺風景な部屋に住んでいる感じ』『物がないと不便じゃないの?』などなど色々なイメージを持たれている方もいるかと思います。ミニマリズムは苦行のようなイメージの方もいるのではないでしょうか?
実際こちらの本でもミニマリストは誤解を持たれると書かれています。その内容は
- すべての物を捨てる
- ミニマリスト=整理整頓する
たしかに、私もこの本を読む前はミニマリストは極端に大胆な整理整頓をして物を捨てる人だと思っていました。しかし、ミニマリストという生き方は、ただ物を捨てて生きる事ではないといいます。著者曰くミニマリズムとは
【一番大切にしている物を最優先にして、その障害となるものはすべて排除する事。ミニマリズムのいい所は物が減る事ではなく物が減る事で豊かさが増える事】
だと書かれています。
最初読んでいると減らすと豊かになる?って感じでしたが、この言葉の意味としては『捨てる過程で自分が何を必要としているのか?本当に必要な物だけを残す事で、人生の優先順位をはっきりさせて、一番大切にしている事や夢・目標などが明確に出来て力を注ぐことができる』ってことなのかなと感じました。ミニマリストになるという事は物を減らしす事で自分の生き方が明確になり、自分のやりたい事に取り組んでいける生き方が自由な生き方なのかなと思い、自分もミニマリストになりたいと思いました。
ここで著者の紹介とミニマリストになったきっかけをご紹介したいと思います。
著者がミニマリストになったきっかけ
ある朝、5歳の息子と一緒にガレージを掃除する事になった。ガレージは車2台入る程の広さだが、物が山積みになり、乗り降りにも一苦労するほど狭くなっていた。息子と二人で一緒に掃除をしようとしたが、荷物の一角に使わなくなったおもちゃがあり、息子は遊ぶモードになったが掃除が終わったら一緒に遊ぶことを約束して1人で遊ぶように言う。昼過ぎになってもガレージは一向にかたづく気配はない。遊びたそうに何度も顔をのぞかせる息子に『もう少しだよ』と言って作業を続ける。その時に感じたモヤモヤする様な気持ちがあった。すると隣に住んでいる優しいおばあさんが気にかけて声をかけてくれた。その時の会話が著者の人生を変えたと言います。その内容とは…
おばあさん『家を持つのって大変よね』
著者『昔から言われているとおりですね。物が増えると物に支配されるんですよ』
おばあさん『本当にそうね。だからうちの娘はミニマリストになったそうよ。こんなものはいらないっていつもいっているわ』
その時はっとして裏庭で1人遊んでいる息子が目の端に映り心に突き刺さった。モヤモヤの原因が何かがわかった。それは今片づけをしている荷物で眺めていて
私の所有物は、幸せを運んでくれないだけではない。それどころか、むしろ私を幸せから遠ざけている!
と感じたという事で、そこから著者のミニマリストは始まったと言っています。この出来事があった後は不用品を人にあげたり売ったり寄付をして人生をシンプルにしていったとの事です。そして『ミニマリストになる』というブログを立ち上げて本格的にミニマリストへの道を歩み始めた様です。
②物を手放すことのメリット
ミニマリストとなると物が少なくなり、不便な事が多くなるのではないかと思います。しかし、ミニマリストになると目には見えないメリットが数多くあると著者は書かれています。その一部をご紹介し、ミニマリストっていいなと思っていただけるようにしたいと思っています。
- 時間とエネルギーが増える
- お金が増える
- 自由が増える
- 環境にやさしい
- 質のいいものを持てる
- 子供の手本になれる
- 人と比べなくなる
- 満足できる
特に自分がいいと思ったことは、上記の黄色でマークした部分です。
物が少なくなれば、物を買ったりする時の時間とエネルギーを使わなくてよくなる事や、物を買わなくなることでその分のお金が貯まる事。買い物や片づけに費やしていた人生の時間を自分の夢や目的に使える等の自由が増える。自分は子供が2人いますが、自分が変わって物が少ない生き方を子供に見せる事でより良い生き方の手本となれる事。欲や見栄の為に物を所有しなくなることで、自分に必要な物だけを持ち『足るを知る』精神で満ち足りた生活が送れるようになる。
物を減らすことで人生に必要な物が増えていくのがここで少しわかっていただけたでしょうか?私はこのメリットでミニマリストという生き方にすごく興味がもて、こうなりたいと感じました。
しかし、実際は片づけを始めようと思っても、ついつい買い物をしてしまい物が増えていく。だから年末の大掃除で大変な目にあっている。そんな方も多いのではないでしょうか。次の章ではなぜ物を買ってしまうのかを紹介していき、物を買ってしまう罠を抜け出して買わないようにしていくポイントなど紹介していきます。
③消費しない為の戦略
そもそも、なんでこんなに物があるのでしょうか?買い物に行くととりあえず…という理由で買い物かごにぽんぽんと物を投げ込む風景を見かけます。私もその一人ですが…
その理由として著者は、私たちが消費文化の中で生活しているからだと書いています。私たちは大量生産・大量消費が当たり前の社会でそれについて考える事はなく、消費をあおる広告であふれ、買えば買うほどに幸せになれると知らず知らずに刷り込まれています。
特に広告業界では私たちの所有欲を利用しており、今では『幸せ』と『消費』がイコールになっています。欲求を満たすために物・お金・時間を何も考えずに消費しています。そしてそれを当たり前だと感じ、疑問にも思わない世界で生きています。過剰な消費で一時の満足は得られるかもしれませんが、その先には更なる刺激を求めてまた消費をするというサイクルにはまっていきます。これはぞっとしますね。多分頭ではぼんやりとわかっていますが、自分に何かと理由をつけて物を増やしているなと感じました。
著者は、消費社会の罠にはまらない為に3つの注意するべき分野があると書かれています。それが
- 世代による消費に対する考えの違い
- 自分の中にある成功の定義
- 広告業界の手口
です。ここでは世代による消費に対する考えの違いと、広告業界の出口に関して紹介しようと思います。
世代による消費に対する考え方の違い
著者は、世代ごと4つの世代に分けることができると言っています。それぞれ
- サイレント・ジェネレーション:1928年~1945年
- ベビーブーマー:1946年~1964年
- ジェネレーションX:1965年~1980年
- ミレニアル世代:1981年~2000年
サイレント・ジェネレーション世代の消費傾向
この世代の方は大恐慌や第二次世界大戦などを経験した世代です。この世代の方々は物がない時代を生きたこともありたいていは買ったものを長く使う傾向にあります。育った時代の傾向から、使えそうなものを何で持っておく人が多い。もったいない精神があり物を長く使う事は大切ですが、自分に必要ないものまでため込んでいる事も多く、物を手放す事に苦痛を伴う人も多いと考えられます。
ベビーブーマーの消費傾向
この世代の人たちは世界大戦直後の世界で、豊かな時代の恩恵を受けて育った世代です。そして夫婦共働きが誕生した世代でもあり、世帯当たりの所得は増えたことと、戦争が終わった世界で楽観的になり社会の安定と成長につながった。そうしてこの世代は第一級の消費者となったと書かれています。
ジェネレーションXの消費傾向
この世代は狭間の世代だと著者は言います。消費文化が花開いた時代と、物があふれる事への疑問が生まれてきた時代の狭間に存在している。この世代が親になると『ヘリコプターペアレント』と呼ばれ過保護な親になり、ベビーブーマー世代の祖父母からは物を買い与える事で愛情表現を行う。こうしてこの世代の家には物があふれかえる、という事です。
ミレニアル世代の消費行動
この世代は1番ミニマリズムが自然な生き方だと著者は言います。テクノロジーが発達する事で、いつでもどこにでも行ける様になり、誰とでも会えるようになったことで移動が当たり前の生活になっています。今までの世代は家を拠点に近場での生活が多いのに対して、ミレニアル世代は引越しをする回数も多くなり、海外にも気軽に行けるほど移動が簡単になっています。物が多いという事は、移動をするというライフスタイルの妨げになるという事です。また、人と物を共有するという『シェアリングエコノミー』という考え方も発達している事から、所有する必要が少なくなってきています。そういった意味ではミレニアル世代が一番ミニマリズムを始めやすい立場だと書かれています。
さて、これを読んでいる読者も皆様はどの世代になりますか?各世代ごとに物に対する価値観や考え方が違っており、物を手放すハードルも違ってくるかもしれません。
しかし、先に述べてきたように物を減らすことで得られるメリットは世代関係なく享受できる内容です。今はまだ無理だ…、もう何年もこの生活だから今更…、と考える方もいるかもしれませんが、ミニマリズムは自分に必要な物を残して、必要ない物は手放す。考え方はシンプルだし、生活の質も格段に向上する可能性が大きいと思います。やらない手はないと感じます。
広告業界の手口
私たちは、働いてお金をもらって物を買って生活をするという社会の中に生きています。中にはもらった給料で前から欲しかった〇〇を買いたい!と目標を立てて頑張っている方も多いのではないでしょうか?それから、テレビや広告で紹介されていた便利グッズ・おいしそうな食べ物・化粧品・家電製品・おもちゃ・ペット用品・家具…などなど
これらはすべて自分の意志で買っているのでしょうか?本当に必要だと思ったから買っているのでしょうか?もしそうなら、家が物であふれて、大掃除で大量に物を捨てるという事にはならないと思います。ではどうして買っているのでしょうか?著者は広告業界の罠があり、消費者にお金を使わせる科学的な根拠があると言っています。
ここでは数ある戦略の中で、よく目にすることも多いいくつかの物を紹介しましょう。
- ポイントカード
- 小売店が発行するクレジットカード
- 『残りわずか!』
- セール価格の値札
- おとりの価格設定
- 客寄せの特売品
- サンプル配布
- 商品の配置や店の立地
ここでは戦略の一部として紹介されていたものを上げましたが、どれも身近で目にした事がある言葉ばかりではないでしょうか?ポイントや割引でお得に買えるからといらない物や安い物をたくさん買ってしまう事があるのは読者の方も経験があると思いますが、それは本当に自分が欲しかったものだったのでしょうか?似たような商品でも価格差があり、『残りがわずか。これを逃すといつ仕入れられるか…』『今ならこの札の値段から更に〇〇円値引させて頂きます』などの言葉でお得に買い物ができてラッキーだったなぁ。と幸せな気持ちになった事がある方もいるかもしれません。ですが、それらが本当にお得な商品なのでしょうか?もしかしたらテレビや広告業界、ショッピングモールやスーパーの売り手側の人たちに操作されて買わされていたのだとしたら…
物をたくさん買う事で満足を得るような生活になってしまうと、自分が本当にやりたい事にお金や時間が使えなくなってしまうかもしれません。店側や広告業界の戦略がわかっているだけでも、それに乗らないで済むかもしれません。ミニマリストになると、物を見て『今の私には必要がない物』という判断が出来る様になり、それがわかるという解放感を味わえると著者は言います。
と、ここまではどうして物を買ってしまうかの話や世代による消費の考え方に違いなどに触れてきましたが、じゃあ実際に物を捨ててみようと行動を始めた時に、幾重の壁が待っています。物を手放すことは苦痛も伴います。そこで次の章では、物を手放すための方法をいくつか紹介していきたいと思います。
④物を手放す方法
では実際に物を減らそうと部屋の中を見回してみたときに、どこから手を付けましょうか?物がたくさんある中で、ある事を皆さん思い浮かべるかと思います。それは『〇〇は捨てるべき?取っておくべき?』
家の中には使わないんだけれども、思い出があったり家族のもので捨てていいのかわからない物だったり、判断が難しいものが多いんですよね。そして悩んでいるうちに時間が過ぎていき、作業がはかどらないまま1日が終わってしまった…片付かなかった物と疲労感だけが残る1日だった…なんて経験をされた方もいるのではないでしょうか?ここで著者は言っています。
捨てられない物から始めなくていいんですよ。まず簡単な物から始めましょう。とにかく始めればいいんですよ。
最初は確実に要らない物や簡単に捨てられると判断できたものだけ捨てていって、物を減らしていくことを勧めています。まずは簡単な物から捨てて、物を減らす事に慣れていきましょう。1部屋とかでもハードルが高いと思うので、小さな場所から始めてもいいと言っています。車の中・引き出しの中・クローゼット内・洗面所などなど、自分が手の付けやすい所から少しづつでいいと言っています。勢いで捨てていき、本当に大切なものを捨てて後から後悔しないようにしていきたいですね。
よく使う場所のいらない物から捨てていく
皆さんは『80対20の法則』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?この法則は色々な物事に当てはめることができます。
この法則を所有物に当てはめると、『80%の時間は持っている物の20%だけに使っている』という事になると言っています。そこで他の80%の物から手を付ければいいと著者は言っています。おすすめなのはリビング・寝室・お風呂場・トイレ・洗面所のよく使う場所です。よく使う場所だからこそ、必要な物だけが置いてある空間で生活する事の気持ちよさを実感しやすいのでしょう。
自分なりの基準で物を減らしてく
ある程度物を減らした後は、次の段階に進みましょう。
片づけるときは3つの山に分ける様にしましょう。
- 取っておくもの
- 家の中の別の場所に移すもの
- 処分する物
それぞれに分けたら、まずは取っておくものをあるべき場所に戻していきましょう。次に家の中の別の場所に移すものをあるべき場所に戻していきます。おもちゃはおもちゃ箱、服はクローゼットなどですね。そして最後に、処分する物です。この山は更に4つに分けていきます。『寄付する物』『リサイクルする物』『売る物』『捨てる物』に分類していきます。
この作業を進めるために、自分なりの捨てる基準が必要になってきます。『不用品』の判断基準は著者の場合、
- 狭い場所にたくさん物がありすぎる
- もう好きでなくなった物、使わなくなった物
- あると散らかった感じになる物
また、片づけコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり先生)の基準は『ときめきを感じない物』や、その他のミニマリストの基準では『自分の人生に価値を感ない物』、『理想の人生を邪魔する物はすべて不用品』、『家にあっていい物は、役に立つものか美しい物だけ』など様々な基準をおいています。皆さんも片づけをするときは、まず自分の基準を決めてから始めると、作業がはかどるかもしれませんね。
どうしても手放せない物と向き合う
物を減らす作業が進んでいくと、どうしてもぶつかる壁が出てきます。それが『手放せない』と思う物です。代表的なものをいくつか挙げると
- 本
- 紙類(書類など)
- ハイテク機器
- 思い出の品
などがあるかと思います。私もこれらの物は捨てるのをためらう物ばかりで、非常に悩んでしまいます。その中でも特に手を出しづらい物は”思いでの品”だと感じました。この思い出の品を減らす方法を本書からいくつか紹介しようと思います。
- とりあえず半分だけ取っておく
- 写真を撮ってから手放す
- もう一度命を与える(その物を必要としている人に寄付したり、リサイクルするなど)
思い出の品を捨てる行為というのは、捨てる事への罪悪感であったり、捨てた後に後悔する事を恐れるために捨てられないという方も多いと思います。特に子供の洋服や描いた絵、祖父母の遺品などが特に捨てずらいかと感じます。このような物は、見たときに昔あった事を思いだす為のツールとなる事が多いと思います。なので、実際物が無くても写真を撮る事で思い出す事はいつでもできるので、思い出の品を手放す為の最初は写真を撮りながら、取っておく物を半分に減らすことから始めてもいいのかと感じました。慣れてきたらそこから更に基準を決めて特に大事な物を数を決めたり入れ物に入る分だけと量を決めて減らしていくなどルールを作り取り組めば減らしていきやすいのではと思います。是非皆さんもチャレンジしてみて下さい!
⑤まとめ
今回は『より少ない生き方』という本の一部を紹介させて頂きました。この記事を見て少しでもミニマリストという生き方のがいいなと感じて頂ければ嬉しく思います。本日内容を最後にまとめていこうと思います。
- ミニマリズムは一番大切にしている物を最優先にして、その障害となるものはすべて排除する事。ミニマリズムのいい所は物が減る事ではなく物が減る事で豊かさが増える事
- 物を減らすことで自分の目的や夢が見えてくる
- 物を増やす事よりも手放すことで心が豊かになりお金や時間、エネルギーも増えていく
- 今の世界は消費社会で、物を買う事で幸せになると思い込んでいる。
- 広告の力は絶大で、知らず知らずに物を買うように仕向けられている。
- 捨てづらい物は後回しでもOK。とりあえず始めていき、不必要な物からどんどん処分する。
- 自分の基準を決めて、そのルールの中で捨てていく。
以上が今回紹介した内容となっています。全部捨てろ!とかではなく自分の許容範囲内で捨てればいいんですよ、という様な内容だったので頑張ってみようかなと思わせてくれる本でした。ミニマリストと聞けば片っ端から物を減らしてほぼ何も持たないで生活をする人をイメージしていましたが、本書を読んでからそのイメージがだいぶ変わったなと感じ、自分も物を減らして自由になりたいと強く思いました。とりあえず自分の部屋の物や着なくなった洋服などから片付けていきたいなと思います。
また、本書では紹介した内容以外にももう少し深く突っ込んだ内容で車の事や家選びなど少し上級者向けの内容や、物を減らす中でどうしても避けられない家族との価値観、家族に理解してもらうためにはどうすればいいかなども紹介されていますので、今回の内容でミニマリストに興味を持った方は是非本書を手に取ってその内容を確認して頂ければと思います。
今回は以上です。最後まで閲覧頂きましてありがとうございました。