みなさんこんにちは。今日も素敵な読書ライフをお過ごしでしょうか?
今回紹介するのは、湘南ERのDr.の【関根一郎先生、佐々木弥生先生、福井浩之先生、寺根亜弥先生】が書かれた『湘南ERが教える 大切な人を守るための応急手当』という本です。
本書は一般の方に向けた怪我や病気、アクシデントに対する対処方法を湘南ERのDr.がわかりやすく紹介してくれています。
本書を読む事で、家や出先でアクシデントが起こった際も、落ち着いて対処できる知識が手に入ります。
たくさんのアクシデントに関して書かれているのですが、全て紹介するのは膨大なボリュームになるので、今回は日常生活で起こり得そうなものから、子供が怪我やアクシデントに見舞われた時に使える内容に絞って紹介していきます。
目次
- ERとはなんだろう?
- 身近に起こる怪我に対する対処法
- 目の前でアクシデント⁉︎こんな時どうする?
- まとめ
ERとはなんだろう?
2021年に『TOKYO MER』というドラマがありましたが皆さんみた事があるでしょうか?
MERとはモバイル・エマージェンシー・ルーム(Mobile・Emergency・Room)の略称で、ドラマでは事故や災害現場にいち早く駆けつけて、治療するチームのことを指していました。
その際に重要になるのがERカーというもので、車の中にオペ室が完備されており、その場で手術が行えるというものでした。
実在すれば救命率が上がるかもしれませんが、現段階ではまだ実在していないようです。
ドラマの話はここまでとして、では実際のERとはどんなものなのでしょうか?
ERとは基本的に全ての救急患者に対応する救急初期診療型で、ERで働くERDr.(ER専門医)は重症度、傷病の種類、年齢に関係なく、すべての救急患者の診療を行います。
著者である湘南ERのDr.の先生方も重症患者とオペから軽症患者の受け入れ・診察まで行います。
似たようなものに、救急救命医もありますが、こちらは主に重症の患者の集中治療を行うのが専門です。
ER医とは軽症〜重症の患者のすべての初期治療にあたるので、専門医というよりは総合的に診れる医師というイメージです。主に初期対応をした後に、各専門医に引き継ぐまでを担当するという感じです。
また、本書を書かれた先生方は湘南鎌倉総合病院の救命救急センターで勤務されています。
重症〜軽症の患者と言いましたが、小児〜大人でも対応が違ってきますので、全ての人に対する初期治療のスペシャリストになります。
通常業務に加えて、そのほかにもERを知ってもらう為の講演会や勉強会を開いていたり、一般の方にもわかるように役立つ医療知識をSNSで発信しているそうです。本書はそのような活動を行なっている先生方がお家で出来る応急手当の内容をわかりやすくまとめてくれています。
怪我やアクシデントに対して、まずチェックするポイントであったり、受診や救急車要請の目安、マンガでの説明も入っていてわかりやすいですし、応急手当の手順も簡潔に書かれているので素人目から見ても理解しやすい内容だと感じます。
次の項目からは私の独断で選んだ怪我やアクシデントに遭遇した時の対処法をかいつまんで紹介していきます。
身近に起こる怪我に対する対処法
①すり傷・切り傷
子供から大人まで、すべての人が経験するものが、すり傷や切り傷だと思います。
子供では転んですり傷が出来きたり、大人では料理の時に指を切り、切り傷が出来るという事が多いのでは無いでしょうか?
大抵の場合はほっといていても治る事が多いですが、稀に傷が悪化したり化膿したりする事もあります。正しい処置をして早めに治せるようにしましょう。
『すり傷(擦過傷)』はアスファルトなどに擦り付ける事で皮膚の表面がすりむけた状態の傷のことです。
「切り傷(切創)』とは、包丁などの刃物で皮膚がきれた状態をいいます。どちらの傷も1番怖いのが『細菌感染』です。
これは傷口についた細菌が、傷から体内に入ってしまい感染してしまうパターンですね。
感染してしまうと、化膿して傷の治りが遅くなり、場合によっては抗菌薬(抗生物質)が必要となる事があります。
なので、まずは感染しないように予防をする事が大切です。小さな傷でも、感染する事はありますので、傷ができた場合全てにおいて、まず重要なのは可能な限り早く傷口を洗う事です。できれば5分以上は水道水でしっかり洗うことを薦められています。
洗う際には石鹸をつけてもいいという事です。そして、見える範囲で土や砂などの異物を取り除きましょう。
出血している場合は傷口を清潔なガーゼや布で20分程度圧迫しましょう。浅い傷であればだいたいの傷の出血はそれで止まります。これは直接圧迫法というやり方で、傷が深くて出血してる場合でも、出血の量を少なくする意味で使いますので、覚えてた方がいいでしょう。
傷口をきれいに治すためには、毎日しっかりと洗浄をして、傷口を乾かさない事が大切です。
ガーゼにワセリンなどの軟膏をたっぷりつけてから傷を覆います。滲出液(しんしゅつえき)が少ない時は、市販の『キズパワーパッド』などを使用してもいいようです。
経過を見て皮膚ができたらガーゼや絆創膏などはつけなくても大丈夫です。
ここをチェック!
- 出血の量
- 腫れているか
- 傷が開いているか
出血が多い場合は傷口を直接圧迫して止血します。腫れが強いのであれば骨折の可能性があります。傷口が開いている場合は縫合するなども検討する必要がありますので、早急に受診しましょう。
受診の目安
傷口をきれいに洗って、出血はすぐに止まるようならすぐに受診する必要はありません。
腫れが大きく痛みが強いなどあれば骨折も可能性があり、場合によっては手術案件かもしれません。
もし受信する場合は、皮膚科、整形外科、形成外科などになります。
★病院受診の目安★
- 傷口が開いている
- 傷の範囲が広い、深い
- 洗っても傷口に土や砂で汚れている
- 頭部、顔に怪我をした
- 痛みで動かせない など
★救急車を呼ぶ★
- 大量に出血がある
- 歩けない
- 腫れがひどい などなど
昔はよく傷ができたら消毒液をつけたり、唾をつけとけば治ると、とかが言われてましたが、現在では市販されている消毒液や唾をつけるなどは推奨されていません。
怪我をしていない正常な組織を傷つける可能性があったり、傷を治してくれる働きが消毒液によって働きづらかなると言われているからです。また、唾は口腔内の細菌などが傷口から入ってしまう可能性が高くなるため、推奨されておりません。
医師が使用を勧めない限りは水道水での洗浄のみを行い、病院を受診することをお勧めします。
やけど
やけど(熱傷)も日常生活で起こりやすい怪我ではないでしょうか?
やけどは熱によって皮膚や粘膜に損傷が起きた状態を言います。熱湯やストーブなどで皮膚に火傷を負う場合や、湯たんぽなどの心地よい温度でも、長時間(50℃なら3分、42℃であれば6時間以上)同じ部分に接触する事で『低温やけど』となることもあります。
火傷をした場合はまず、患部を冷やしましょう!水道水などの流水で冷やします。冷やすことで火傷の進行を防いで痛みを軽減できます。
概ね5〜15分ほど冷却をしましょう。氷や保冷剤は直接当てると組織が傷ついてしまうかもしれないため、ハンカチや薄手のタオルで包んで使用するようにして下さい。
損傷部位によっては、腫れてアクセサリーが取れなくなるケースもあるようなので、腫れたりする前にはずしておきましょう。
チェックのポイント!
- やけどの範囲
- 水ぶくれがあるか
- 煙を吸ったか
広範囲のやけどでは脱水の危険があります。火事などでは煙を吸ってしまい喉を痛めた時は、命の危険性も考えられるためすぐに救急車を呼びましょう。
受診の目安
★病院へ★
- 顔や陰部にやけどをした
- 水ぶくれがある
- 強い痛みがある
- 膿が出てる
- 発熱している
- 患部に衣服がくっついて離れない
★救急車を呼ぶ★
- 煙を吸って喉が痛い
- 皮膚が白く又は黒くなっている
- やけど範囲が広い(患者自身の手のひらの10個以上の範囲)
病院に行くまでの間も、まずは『水で冷やす』手当をしておきましょう。症状悪化を防ぐ事が出来ます。
受診は皮膚科や形成外科へ。
やけどは深さによって重症度が決まります。それに伴い傷跡の残りやすさも変わってきます。しかし、状況や状態によって変わるため、あくまで目安です。一応記載しておきます。
- Ⅰ度・・・皮膚が赤くなる→基本的に痕は残らない
- Ⅱ度・・・水ぶくれができる→痕が残る場合と残らない場合がある
- Ⅲ度・・・黒色or白色となり、痛みを感じない→手術の必要性がある場合がある
やけどをした時によく水ぶくれ(水疱)ができ、部位によっては潰したくなるかもしれません。
しかし、基本的には破らない事が推奨されています。理由として、水疱が傷を外部から守る役割があるので、盾の役割をしてくれています。
これを潰すのは防具をつけず防御力を捨てる行為なので、意図的に破るのはやめた方がいいでしょう。
しかし、何らかの理由で破れてしまった場合は、傷を洗ってワセリンや軟膏を塗り、皮膚を乾燥させないようにしましょう。
注意点として低温やけどの場合、熱源に長時間接しているので皮膚の奥にダメージを受けている可能性があります。
なので表面の状態があまり変わっていなくても、気がついたら受診することを勧めています。
また、子供の火傷に関しては小さい子ほど体の表面積が小さいため、狭い範囲の火傷と、思っていても重症な事があります。
脱水になる可能性もありますので小さい子のやけどは必ず医師の診察を受けましょう。
ペットに噛まれた
最近では多種多彩なペットが飼われる事が多くなりましたが、ペットもお利口な時ばかりではありません。
不機嫌な時もあったり、しつけが難しいペットも多いものです。時々噛まれたり、ひっかかれるといったこともあるかと思います。
自分の可愛いペットだから、大丈夫・・・と思っている方も多いかもしれませんが、動物から噛まれたりひっかかれて怪我をすると感染のリスクがグンっと上がるので注意しましょう!
また、普段かからないような特有の感染リスクがあるのでそこも注意が必要です⚠️
では、どのような病気に感染するリスクがあるのか?怪我をした時の対処方などを学んでいきましょう。
感染症リスク ①破傷風
破傷風は土の中にある『破傷風菌』という菌に感染して発症するものです。
たとえば、犬が庭で遊んでいて穴を掘ったり土を少し舐めてしまったとしましょう。そのあとで遊んでいたところ爪がひっかかって怪我をしたり、噛まれて傷ができたら、破傷風菌が傷口から入る可能性があります。
感染リスク ②狂犬病
狂犬病は狂犬病ウイルスにかかる事で発症します。
名前的に犬から感染するものと思われがちですが、狂犬病ウイルスは犬以外の動物も保有している事があるので注意が必要です。
また、この病気の怖いところはウイルスに罹患すると致死率がほぼ100%と言われているところです。
幸い、近年は狂犬病での人間の死亡例は確認されておりません。その理由としては、ペットとして飼う場合は狂犬病のワクチン接種が義務化されており、ペットは狂犬病ウイルスを保有していない事がほとんどだからだと考えられています。
しかし、野良犬や野良猫などは狂犬病ウイルスを保有している可能性がありますので、発症する経路としては野良犬または野良猫に餌をあげて触ろうとして噛まれるなどが考えられます。
この病気は潜伏期間が長く約1ヶ月ほど経ってから症状が出始めるので、もし噛まれた場合はすぐに病院に受診することをオススメします!
感染リスク ③パスツレラ症
これは『パスツレラ菌』という菌が体内に入る事で感染するものです。
パスツレラ菌は口腔常在菌で犬で20〜50%、猫で70〜90%が保有してると言われています。保有率が高い猫から感染するケースが多いようです。
健常者では体内に入っても無症状で経過する人もいるようですが、免疫力が低下してる人や糖尿病などの持病がある方は感染リスクが高くなる傾向。
この病気はワクチンが無いため、対症療法となる事が考えられますので、噛まれる以外でもペットの過剰なスキンシップでキスなどをする事でも感染リスクとなりますので、予防のためにも口✖︎口の接触は避けた方が無難でしょう。
感染リスク ④バルトネラ症
この病気は猫ひっかき症とも言われており、猫から感染するリスクが高い病気です。
『バルトネラヘンセレ』という菌から発症する事がわかっています。バルトネラヘンセレは、猫ノミの一種に生息しています。
感染経路として、猫ノミに血を吸われた猫や犬がバルトネラヘンセレに感染。その感染した動物が人間を噛んだりひっかいたりすることで、2次感染が起きます。
ノミの駆除をしてるペットであれば感染してるリスクは少ないかもしれませんが、放し飼いや野良などの動物からの感染リスクは高いと思われます。
この辺りがペットなどの動物に噛まれた時に感染するリスクが考えられる代表的なものです。
次は噛まれたりひっかかれた時の対処法についてです。
まずは水道水で5分以上よく洗いましょう。先ほども書きましたが、動物による怪我からの感染リスクは高いため、念入りに洗うことをオススメします!
傷が小さいから、痛くないから大丈夫、ではありません。また、損傷部が指先などの末端部になると、皮膚が薄い事で骨が近いことや血液循環が悪いこともあり感染症のリスクが高まります。
また、余談ですが犬に噛まれるよりも猫に噛まれた時の方が感染率が高く重症化しやすいと言われています。
猫の口腔内の方が雑菌が多く、牙が細いのでより深部に到達しやすい事が原因だと言われています。
稀なケースではあるかと思いますが、人間による咬み傷は動物よりもさらに感染率が高いと言われています。もし噛まれた場合はすぐに病院受診をしましょう!
受診の目安
★病院へ★
- 原則、病院受診をする
- 腫れがひどい
- 強い痛みがある
★救急車を呼ぶ★
- 傷口が広範囲、又は深い
- 歩けない
打撲・捻挫
打撲や捻挫はスポーツをしている人のほとんどが経験があるのでは無いでしょうか?
程度が軽いものから重症なものまで様々なので、現場での判断は素人目からしたら難しいと思います。
ここでは、受傷後に適切な処置で腫れや痛みを軽減することを念頭に話をします。
まず打撲とは、人や物にぶつかった時に筋肉などを損傷する事を言います。
捻挫は関節を捻る動作や外力(自分以外の力)が加わる事で靭帯などが損傷した状態を言います。
それぞれに重症度別の怪我の程度がありますが、話が脱線する為今回は割愛します。気になる方はGoogle先生に教えてもらって下さい。
打撲や捻挫をした時に、その場でできる応急処置としてはRICE(Rest=安静、Ice=冷却、Compression=圧迫、Elevation=挙上)で覚えましょう。とりあえず怪我をしたら安静にしてすぐ冷やす。怪我の部分を圧迫して心臓よりも高い位置にあげるというのだけなので、意外とやることは簡単です。RICEをする事で痛みや腫れを最小限にする事が出来ます。
冷却に関しては負傷してから6時間くらいは氷や保冷剤などで冷やして欲しいのですが、肌に直接冷えたものを当てると凍傷の恐れがあります。痛めた部位によって冷却時間は違ってきますが、本書では1回の冷却時間は15分にとどめる様に記載されています。
圧迫では弾力のある包帯(弾性包帯)やテーピングによって患部を適切に圧迫しましょう。
圧をかける事で内出血を防いだり痛みを軽減する効果があります。注意点としては、あまり強すぎる圧をかけると血流が悪くなります。
巻いた部分より末端の色が変色していないか確認し、少し圧を緩める時間を作ることも必要なので注意しましょう。
挙上は心臓より高い位置に患部を上げる事で、血流が損傷部に集まりすぎるのを抑制し炎症症状が過剰になるのを防ぐための処置です。
チェックポイント
- 頭を打ってないか
- 腫れが酷くないか
- 怪我の原因は何か
などわかる範囲で情報を集めましょう。頭を打って嘔吐やふらつきの症状があるときは必ず病院受診を!
腫れが強い場合は骨折の可能性もあります。小さい子供は自分で説明ができない事も多いため、怪我をした時の状況など目撃情報など詳しく聞き取りましょう。
受診の目安
- 足をつく事ができない
- 関節が変形してる
- 腫れや痛みが強い
などの場合はすぐに病院受診しましょう。また、頭やお腹を打っている場合も迷わず病院へ。
手や足などの怪我は急変などの可能性は低いので、応急処置をして様子を見てから判断しましょう。
また、子供の場合は足首を捻っただけでも骨折している可能性があります。
子供は大人と比べて骨が成長段階にあるため骨が軟らかいため、くっついている靭帯が損傷するよりも先に、骨が剥がれてしまう事があるからです。
これを『剥離骨折(裂離骨折)』と言います。骨が薄く剥がれるため、レントゲンでも見分けが難しい場合があります。
余談ではありますが、たまに受傷部分に湿布を貼る人も見かけます。湿布には痛みを抑えてくれる消炎鎮痛成分が含まれているので痛みを和らげてくれる効果は多少あります。
しかし、これはあくまでも痛みを抑えているだけに過ぎず、貼ったから良くなっているという事ではありません。
あくまで一時的な症状緩和の効果があるだけです。また、湿布には冷湿布と温湿布がありますが、痛めてから1週間以内は冷湿布、慢性的な痛みではどちらでも構いません。
もし湿布を使いたいという方は自分の気持ちいい方を選んでみてください。
突き指・骨折
突き指はスポーツ、特に球技でよくみられる怪我で、指に対してまっすぐの方向の外力が加わる事で起こる損傷です。
たかが突き指でしょ?と侮らない様にしましょう。なぜなら、靭帯損傷や骨折をしてる場合もあるからです。
処置は先ほど紹介したRICE処置をする事が大切です。出血を伴う場合はガーゼや清潔なタオルなどを当てて止血しましょう。
変形や腫れがある場合は骨折してる可能性もあるためRICE処置に加えて患部を『添え木』で固定し、出来るだけ動かさない様にして、すぐに病院受診をしましょう。
部位によっては適当な添木を準備できないことも多いかと思います。そんな時はダンボール・新聞紙・雑誌・折り畳み傘などを患部に当てて固定する方法もあります。
あくまで受診までの繋ぎの添木ですので、なるべく速く受診して適切な固定や処置をしてもらえる様にしましょう。
また、小さな傷がある場合でも感染リスクはあるため注意が必要です。損傷部より末端が白くなってきたり冷たくなってきた場合もすぐに受診する様にしましょう。
チェックポイント
- 皮膚に傷がないか確認
- 疼痛部分よりも先を動かせるか?痺れはないか?
- 指先が白くないか?冷たくないか?
などを見る様にしましょう。骨折して傷がある場合は感染症の危険があります。動かせるか、痺れはないかなどの確認で神経の損傷の有無を簡易的にチェックできます。
指先が白いと血流障害がうたがわれるのであ、固定が強すぎたら少し弱めるなどで改善するかなど微調整をしましょう。
受診の目安
★病院へ受診★
- 酷く腫れている
- 痺れがある
- 傷がある
- 強い痛みがある
- 変形してる
★救急車を呼ぶ★
- 歩けない
- 力が入らない
骨折が疑われる場合や、変形が強い場合は骨折してるものとして対応しましょう。
その場合は骨折部位に添え木をして患部を固定。応急処置をしてから病院受診をしましょう。固定の際の部位ごとの固定方法について簡単に説明します。
指の場合
指を骨折している場合には、隣の指を添え木代わりにして一緒に巻いてOKです。
割り箸などの細いものを一緒に巻いても。まっすぐ伸ばせない場合は無理に伸ばさない様にしましょう。
手首、前腕の場合
幅広の添え木を使うと良い。
前腕の場合、ダンボールを使用するなら腕を覆う様に巻いてもOK。
膝、脚の場合
関節部分を避けて足首、膝下太ももにかけて添え木を当てて、タオルなどで結んで固定する。
添え木と脚になるべく隙間ができない様に気をつける。
足首の場合
足首の部分の添え木は90°に曲げて足の裏、ふくらはぎに当たる様に固定する事で安定させる。
直角の部分に踵を当てると密着しやすくなる。
目の前でアクシデント⁉︎こんな時どうする?
①過呼吸
過呼吸はストレスを感じたり運動などが原因で呼吸の回数が多くなる事で起こります。
血液中の二酸化炭素濃度が低くなる事で呼吸困難を引き起こし、手足の痺れや痙攣も起きます。
こんな症状が出ると、当の本人もさらに不安感が増してしまい『息ができない』『吸っても吸っても苦しい』など症状が悪化してしまいます。
対処法ですが、まずは過呼吸の原因となるストレスがわかる場合はそれを取り除きましょう。(ケンカが原因なら相手と一旦距離を取ってもらうなど。)
あとは、落ち着いてゆっくり呼吸をしてもらう事です。ただそれだけです。
しかし、本人は苦しさから少しパニックとなる場合も考えられます。対応する人も一緒に不安な表情になると、本人はますます不安に感じるかもしれません。
なので、対応する場合は落ち着いた表情で対応しましょう。呼吸法方は自分のお腹に手を当てて、『4秒で吸って、数秒止まり、8秒かけて吐く』このサイクルで一緒に時間を数えながら呼吸をしてみましょう。
これを5〜10回程度で息ができない感覚は改善し始める様です。
受診の目安
- 呼吸状態が改善しない
- 過呼吸を何度も繰り返す
- 精神的なストレスがない
などの場合は別の病気による過呼吸の可能性があります。
何度も繰り返す場合は精神科や心療内科などで定期的な診察が必要な場合があります。
今はあまりないかと思いますが、少し前は過呼吸が起こった場合に紙袋やビニール袋を当てがい呼吸させる『ペーパーバック法』がいいとされていました。
血中の二酸化炭素が少なくなってるので、袋を当てがい二酸化炭素の量が多い空気を吸わせれば症状が改善するという事なのかもしれません。
しかし、今はこの方法は推奨されていないので注意が必要です!実際に実施しても、血中の二酸化炭素の量は増えませんし、なんなら酸素不足となり余計に息苦しい感じが増強されてパニックを悪化させてしまったり、酸欠状態となり失神なんてことも考えられます。
もしこの方法で対応してる人がいたら、辞めてもらう様にしましょう。
②誤飲
乳幼児は好奇心の塊の様な存在で、目に入るものや手が届くもの全てに興味を持って、舐めたり口の中に入れてしまいます。
これは探索行動の一種で口の中に入れる事でその感触を確かめようとしているのです。
そのため誤飲は特に1〜3歳の子供でよく起こるとされています。
私の体験では、下の子供がまだ1歳半くらいの時にオムツを交換をしていたら、排泄物の中にビー玉が入っていた事がありました。それをみてからは、床に落ちているものには注意を払う様になりましたが、すごく怖かったのを覚えています。
話を戻しますが、誤飲しても、無理に口の中に手を入れたり吐かせようとしたりしてはいけません。吐かせることで食道などの粘膜を傷つけたり、肺炎の原因となってしまいます。
どんなものを飲んだとしても、判断や処置を誤ると大変危険なので、専門家の指示を仰ぎましょう。
飲み込んだものがわかったり、飲み込んだものと同じものがある場合は受診する際に持参すると処置の参考になります。
特に注意が必要なのは、
①電池
- ボタン形やコイン形の電池は体内で電流が流れたり、消化液で腐食すると内臓が傷つきます。
- 磁石は胃や腸を挟んで複数が体の中に留まると穴を開けてしまうこともあります。
②たばこ
- たばこ1本で乳幼児の致死量に相当します。
- 嘔吐する事が多いため重症には至らないことも多い。
- たばこを浸した水はニコチン濃度が高く危険。
③大人用の薬
- 1錠であっても子供の命に危険が及ぶこともあります。
④殺鼠剤・除光液・灯油など
- いずれも緊急性が高い。
- 吐くと食道などの粘膜が損傷する恐れがある。
- 除光液や灯油は揮発性が高く、吐いた時に再び吸い込んでしまうと、肺炎など肺のトラブルになりやすい
⑤家庭用洗剤
- ジェル状やキューブ状など子供が興味を持ちやすい形をしてるものが多く、香りがついているのでお菓子と間違えやすい。
⑥鋭利な異物
- 主にカッターの刃、押しピンなどです。
- 体内で傷を作ったり、引っかかったり刺さったりする危険がある。
- 吐かせると粘膜を傷つけるので、必ず病院で除去してもらう。
受診の目安
- 先程あげた6つのリストの他にも、3cmを超える大きなものを飲んだ場合。
- 嘔吐・咳込み・水が飲めないなどの症状がある場合
何をどの程度飲んだなどのできるだけ把握をしましょう。
飲んだものと同じものがあれば受診時に持参しましょう。
受診時は救急科などに連絡を!
③熱中症
熱中症とは暑い環境に体が上手く適応出来ずに起こる状態のことを言います。
体内での熱の生産と放散のバランスがくずれて、体温が著しく上昇してしまいます。
気温や湿度が高かったり、風が弱いなどの環境で熱中症は発症しやすいです。
猛暑の中で運動や仕事をしてる時に具合が悪くなるのが典型例ですが、転倒して動けない、具合が悪くなり動けず、結果的に暑い環境の中で長くいる事で熱中症となることも多いです。
子供や高齢な方、精神疾患がある方などは自己管理が難しい傾向にあるので、周囲が注意してあげましょう。
症状的には眩暈、立ちくらみ、こむら返りなどの軽症から、頭痛・吐き気・倦怠感・ぼーっとするなどの中等症などの症状など多様です。意識の状態が悪いと重症と言われています。
対応としては、まずは涼しい場所へ移って横になります。
汗をたくさんかく事で体のミネラルが失われている事が多いので、塩分の入った水分をとって体を冷やしていきます。経口補水液やスポーツドリンクなどを取りましょう。
意識の状態が悪かったり、自力での水分摂取困難である場合は早急に病院受診する必要があります。
また、熱中症は軽症だと思っていても、途中から急激に状態が悪化して重症の症状となる場合もあるため、処置後も症状の改善が乏しい場合は受診することをすすめます。
熱中症は『症状の程度と回復度』で判断します。
軽症だから大丈夫ではなく、経過を観察して症状が改善してきている・経過がいいと判断できる場合に、初めて大丈夫という状態と言えます。
本人が大丈夫と言っているからと軽視する事なく、症状が改善しないのであれば医師の診断を受けた方が無難でしょう。
熱中症には4つの種類(段階)があります。
段階的には軽症・中等症・重症に分かれますので、それぞれの特徴を記載していきます。
軽症(Ⅰ度-①) 熱失神
- 炎天下の中で立っていたり、立ち上がった時、運動後などに起こります。
- 皮膚血管の拡張と下肢の方へ血液が集まった状態が続く事で血圧低下、脳血流が減少して起こるもので、めまいや失神(一過性の意識消失)などの症状がみられます。
- 足を高くして寝かせる事で通常はすぐに回復します。
軽症(Ⅰ度-②) 熱けいれん
- 汗には体内の塩分も含まれています。大量に汗をかいた時に、水だけ(あるいは塩分の少ない水)を補給して血液中の塩分濃度が低下する事で起こります。
- 痛みをともなう筋けいれん(こむら返りなど)がみられます。
- 下肢の筋だけでなく上肢や腹筋などにも起こります。
- 生理食塩水(0.9%食塩水)など濃い食塩水の補給や点滴により通常は回復します。
中等度(Ⅱ度) 熱疲労
- 発汗による脱水と皮膚血管の拡張による循環不全の状態。
- 脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がある。
- スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給することにより通常は回復します。
- 嘔吐などにより水が飲めない場合には、点滴などの医療処置が必要です。病院受診が必要なレベルです。
重症(Ⅲ度) 熱射病
- 過度に体温が上昇(40°C以上)して脳機能に異常をきたした状態。
- 体温調節の機能が働かない。
- 意識障害がみられ、応答が鈍い、言動がおかしいといった状態も見られて、進行すると昏睡状態になります。
- 高体温が持続すると脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発し、死亡率が高くなります。
- 死の危険のある緊急事態です。救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっています。まずは救急車を要請し、速やかに冷却処置を開始しましょう!
受診の目安
★病院へ★
- 処置しても改善しない、悪化傾向
★救急車を呼ぶ★
- 症状が強くて動けない
- 意識状態が悪い
熱中症になった時の応急処置
- 涼しい場所で休む(衣服を脱がせたり、ベルトやネクタイを緩めたりする。霧吹きなどでぬるま湯を直接皮膚にかけて、扇風機やうちわなどで風を当てて熱を逃します)
- 塩分の入った水分を摂る(ただの水を飲ませると×です。塩分を含んだ水分の方が体に吸収されやすいことや、発汗などでミネラル分を失っているため補充する意味でも塩分は大切です。吐き気や意識障害がある場合は、気道に入る危険があるので飲む時は付き添いましょう)
- 体を冷やす(首の両側、脇の下、股関節など太い血管が通っている場所に保冷剤や氷袋などを当てましょう。静脈を流れてる血液を冷やす事で、全身の体温を下げます。)
どれも簡単ですが、熱中症の時には必須の作業です。熱中症の症状がある人がいたら、すぐに処置をして悪化しない様にしましょう!
④鼻出血
鼻の穴自体は小さいですが、その奥は喉まで続いている洞窟の様なスペースがあります。
鼻血はこの鼻の中のどこかから出血します。
出血が1番起きやすい部分は、鼻の穴に近いところ(キーゼルバッハ部位と呼ばれる部分)です。
なので、鼻の先の根本の部分から左右を挟む様に抑える事でほとんどの鼻出血は止める事ができます。
出血量が多かったりすると、喉に血が流れ込む危険があります。
なので俯いた姿勢で鼻を押さえて血が喉のほうに行かない様に注意しましょう。
仮に喉に流れ込んだ場合は、口から吐き出す様にしましょう。
鼻を押さえる止血方法でも止まらずに、30分以上継続しても出血が続いている場合は、鼻の奥から出血している可能性があるので、病院受診をしましょう。
鼻をいじる事が多い子供や粘膜が乾燥しやすい冬では、鼻出血を起こしやすいです。
しかし、その都度しっかり止血していれば心配する必要はありません。
しかし、圧迫しても止血できなかったり、頻繁に出血する場合は背景に他の病気が関係しているかもしれません。
その場合は血液検査など病院で調べてもらいましょう。また、止血後は再出血予防のため数日間は激しい運動は控えることと、飲酒や入浴は避けましょう。
受診の目安
- 30分間鼻を押さえてしけてしても出血が止まらない
- 立ちくらみやふらつきがある時
- 受診のする場合は耳鼻咽喉科に行きましょう。
応急手当
- うつむいて鼻をつまんで押さえる(出血の多くは鼻の穴の入口近くが多く、毛細血管が多い部分です。押さえる事で圧迫して出血を止めましょう。血を飲み込まない様に注意!喉に流れてきたら口から出しましょう!)
- 昔から上を向いたりティッシュを詰めたりする事がありますが、一概にいいとは言えません。
- 上を向くと血が喉に流れやすく、血は固まる作用があるので、喉に流れて固まるなどの危険も考えられます。
- ティッシュで止血は出血部位を上手く押さえられない場合もあり、乱暴に詰める事で粘膜が傷ついてしまうこともあり注意が必要です。
⑤鼓膜損傷
耳かきってなんだか気持ちいい。耳垢が取れるともっと取りたくなるものですよね(^^)
しかし、耳かきや綿棒などで掃除をしてる途中に誤って奥まで行きすぎて鼓膜や外耳道(耳のトンネル)を傷つけてまう事があります。
また、平手打ちや耳元で大きな音がした時など、風圧で鼓膜を損傷してしまうこともあります。
症状としては耳の痛みや出血が多く、時に難聴や眩暈を引き起こす事もあります。傷ついた鼓膜は自然に治る事も多いですが、鼓膜の内側が傷ついてないか?耳の中に血が溜まってないか?など診断が必要なので、耳鼻咽喉科に行きましょう。
鼓膜が傷ついていると細菌感染をする場合があるので、お風呂などがでお湯が耳に入らない様に気をつけましょう。
耳掃除をする時に傷をつける場合も多いですが、耳奥の耳垢は自然と外に移動してきます。なので、耳かきは耳の穴の入口1cm程度に留めましょう。
受診の目安
- 耳が痛い
- 出血
- 聴こえずらい
などの症状がある場合 耳鼻咽喉科へ行きましょう!
鼓膜が破れると、音を伝える事ができなくなり、音が聞こえづらくなります。
鼓膜の奥には『内耳』と呼ばれる聴覚や平衡感覚を司る所がって、内耳に強い衝撃が加わると目眩を起こす事があります。
また、鼓膜には音の振動を伝えるのに必要な小さな骨が3つ付いています(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)。
この骨にダメージがあると難聴が治らない事があるので、受診してしっかりどこまで損傷しているのか診てもらう必要があるでしょう。
⑥接着剤で指がくっついた
普段生活をしてる中で接着剤を使う機会は稀だと思います。たまに使う機会があるとすれば、DIYや子供の夏休みの工作を手伝う時とかだと思います。
接着剤自体は非常に便利な物ですが、誤って指に付いて、指と指が離れなくなる事がたまにあります。さらに稀ですが、まぶたに付いて目が開かなくなる事例もあるようです。
そうなると、結構焦っちゃいますよね?ですが、ここで力まかせに無理やりはがそうとすれば、皮膚がはがれてしまうことがあります。ナイフやカッターで切り離そうとすると怪我に繋がりかねません。
専用のリムーバーも販売されている様ですが、家に常備しているという人はほとんどいないかと思います。
では、こんな時私たちはどうすればいいのでしょうか?本書の答えは、ワセリンを使うことを推奨しています。
くっついた指にワセリンを塗ってマッサージすると、少しづつはがれてくる様です。
もしワセリンもない場合は、40℃くらいのお湯にくっついた手を入れてマッサージする事で、時間はかかるものの痛みもなくはがすことができる様ですよ。
皮膚に接着剤が残っていても、数日で自然と剥がれ落ちるので、無理に落とさなくても大丈夫だそうです。
受診の目安
- ワセリンやお湯でのマッサージでもはがれない時
- 無理に取ろうとして怪我をした時
こんな時は病院へ。受診する時は皮膚科へ行きましょう!
ワセリンは傷ができた時の保湿剤として使う事が出来たり、今回の様に接着剤を剥がす時に使えたりと使い道が多いです。
赤ちゃんの肌にも使えるため、人を選ばないのも使いやすいポイントです。自宅の救急セットに1つは入れておきたいですね(^^)
⑦歯が抜けた
子供であれば、乳歯が抜けても歯の生え替わりで永久歯が出てきますが、大人の歯が抜けた場合は生え変わることはありません。
歯は食事に必要不可欠なものですし、見た目に関しても重要な部分になります。
大人の歯が抜ける場面としては、転んで歯をぶつけて折れてしまったり、スポーツで相手とぶつかって歯が取れた、格闘技で相手の打撃を受けて歯が抜けるなど色々な場合が考えられます。
こんな時は焦る人も多かったり、とりあえず歯医者にという方も多いのではないでしょうか?
この時に折れた歯のコンディション次第では再び歯を固定すれば元の様に戻ります。
なので、折れたり抜けた歯を歯医者に持っていくことが大切です。しかし、ここで注意が必要!
抜けた歯をきれいにして持っていこうとして水で洗ったりしてはいけません!歯のコンディションを保つためには、歯の根っこの部分を乾燥させたりこすったりしないと覚えておきましょう。
根っこの部分には歯根にくっつくために必要な細胞(歯根膜)があって、この細胞がどれだけ残っているかで治療法が変わってきます。
乾燥を避けるためには、抜けた歯を『牛乳』につけて歯医者に持っていくことを推奨しています。
牛乳は体液の浸透圧に近いので、保存液の代わりになるということです。しかし、家の中ならまだしも、外出中にタイミングよく牛乳を持っている、なんて事はない事が多いかと思います。
牛乳がすぐに準備できない状況であれば、飲み込まない様に注意して、口の中に入れて唾液で乾燥させない様にして保存しましょう。
仮に折れたり抜けた歯が汚れていても、擦って洗うと表面の細胞がダメージを受けて治療に影響が出てしまうので注意しましょう。保存したら少しでも早く歯科受診する様に!
受診の目安
- 永久歯が抜けた、ぐらつくなど
- 出血が止まらない
抜けた歯に残ってる細胞が生きているうちに治療する事が大切です。
ちなみに、保存は牛乳と書きましたが、水道水でもとりあえずは可能です。
しかし歯のコンディションを保てる時間に差が出てきます。本書では水道水に浸した場合は2時間、牛乳に浸した場合は6時間程抜けた歯のコンディションを保てると書かれています。
すぐに治療が出来るのであれば水道水でもいいですが、次回までの移動や、その後の治療時間までを考えると少しでも歯の状態を保てる牛乳があるといいですね(^^)
⑧低体温症
最近はキャンプやグランピングなどのアウトドアに出かける人も多いかと思います。泊まりがけで行く時に注意したいのが涼しくなった季節では低体温症に気をつけたいですね。
ちなみに低体温症とは、体の奥の温度(深部体温)が35.0℃以下になっている場合をいいます。
なので、平熱が低いからといって低体温というわけではありません。ちなみに深部体温は直腸・膀胱・食道などに専用の体温計を挿入する事で測定します。なので、家庭用の体温計では測定することは出来ません。
次に低体温症のレベルと症状、受診の目安などを学んでいきましょう。
低体温症のレベルと症状
軽症Ⅰ
- 深部体温32〜35℃
- 寒気を感じてぶるぶる震える
- 手足の指が動かしにくくなる
- 皮膚感覚が麻痺し始める、歩き方がよろついたり転倒しやすくなる
軽症Ⅱ
- 震えが減少してくる
- 歩けなくなる
- 呼吸が浅く回数が増える など
中等度
- 深部体温28〜32℃
- 呼びかけに反応が悪い
- 震えが止まる
- 体が硬直する
重度
- 深部体温28℃未満
- 意識がなくなる
- 乱暴に体を動かすと脈拍が不安定になり心臓への血液供給が止まってしまう
- 死に至る
受診の目安
★病院へ★
- 体を温めても回復しない
★救急車を呼ぶ★
- 呼びかけても反応が悪い
温かい飲み物を飲ませたり、毛布などで温めても回復せず、衰弱している場合は病院受診しましょう。意識の状態が悪い場合は救急車を呼びます。受診時は救急科へ。
低体温症は寒い場所=屋外と考える方も多いのではないでしょうか?しかし、真冬で暖房をつけていない室内は、外気温と同じ程度まで温度が下がります。
そんな中で病気や怪我で動けないと低体温症になってしまいます。
屋外で多いと思われている低体温症ですが、実は屋内での発生も多いと言われています。
昨今は電気代高騰もあり暖房を使わないで我慢する人もいるのではないでしょうか?
夜間などは温度も下がりやすいので、時間帯などにも気をつけつつ低体温症にならない工夫が必要だと思います。
低体温症の応急手当
①温かい場所へ移動する
屋外であれば、風を避けられる場所や屋内へ移動させるなど、温かい場所へ移動させましょう。
②濡れた衣服を脱ぐ
着替えがなくても、乾いた毛布や寝袋があれば、濡れた服は脱がせて全身を包んで保温する様にします。
濡れた衣服は体温を奪うため、なるべく早く着替えさせるか温かいもので保温することを考えましょう。
③カロリーを補給する
食べることで体内に熱を作り出す事ができます(食事誘発性熱生産)。
本書ではチョコレートや携帯用食品などのなるべくカロリーが高いものを選ぶことを薦めています。
④温かい飲み物を飲む
先程の話ともリンクしますが、飲み物もスープやココアなどの高カロリーで糖分が入っているものがいいです。
1つNGとしているものはアルコールです。これは体の熱を奪ってしまうことと、そもそも体に悪いというのもあります。
寒い国ではよく寒さを紛らわす為にお酒を飲む習慣がありますが、あまりおすすめはできません。
アルコールを飲むと血管拡張作用によって手足までの末端の血管まで血が通い一時的に血流が良くなって暖かくなります。
しかし、末端に行った血液は外気によって冷やされて、その冷えた血液が体中を巡ります。
その結果体温は下がってしまいます。なので、体を温める為にお酒を飲むのはやめましょう!選ぶなら甘くて美味しい飲み物を選びましょう。
まとめ
今回は湘南ERのDr.が書かれた『湘南ERが教える 大切な人を守るための応急手当』を紹介しました。
日常でよく目にする怪我であったり、アクシデントに対して自分でできる処置や、救急車を呼ぶ時の目安などがわかりやすく書かれており、すごく理解しやすい内容であったと感じました。
また、マンガなども随所に入っているので非常に読みやすかったです。
乳幼児〜老年期の方に起こり得る様々なアクシデントに、もし自分が遭遇したら皆さん的確に動けるでしょうか?
アクシデントは不意に起こるものです。その時に素早く対応できるかで、その後の状況が大きく変わります。自分で判断できない時は迷わず病院や119番に連絡して指示を仰ぎましょう。
私は2人の子供がいるので、今回紹介した内容は子供に起こり得るアクシデントを中心に紹介しました。
ですが、本書では老年期の方に起こりうるアクシデントやアウトドアでのアクシデントなど様々な状況や症状に対する応急手当や対応のやり方が書かれています。
もし今回の記事を見て興味を持たれた方は是非本書を手に取って勉強してみてください。
それでは最後に今回の内容をまとめて終わりにします。
今回のまとめ
- 怪我は流水できれいに洗い流す
- ワセリンを使って保湿できる
- 打撲などはRICE処置
- 骨折は固定して受診
- 意識が曖昧であれば救急車を呼ぶ
- 鼻血は下を向いて鼻の根元を強くつまむ
- 誤飲したら吐かせないですぐに受診
- 永久歯が抜けたら牛乳に入れる
- 低体温の場合は体を温めてカロリーの高いものを食べる
以上です。もし家族や友達が自分の前でアクシデントに見舞われたら、自分がすぐに動いて助けられる様に知識武装しましょう!
パニックにならない為には、知る事がまずは大事です。いざという時の為に最低限の知識を入れておきましょう。
長文でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。また別の記事も読んでもらえると嬉しいです。