今回紹介する本はジョージ・S・クレイソン原作『漫画 バビロン 大富豪の教え』です。
本書はお金に関する人類不変の知恵がギュッと詰まっており、1家に1冊は持っておきたいと思える本となっています。また、漫画で物語としてお金の知識が得られるため、非常に読みやすくなっており、文字が多い本が苦手という方にもオススメできる1冊です。
日本ではお金に関する授業はなく、お金の知識や情報は自分から積極的に取りにいかなければならない状態です。最近ではYouTubeやマネー本など知識を学ぶための手段も多くなった事や、政府主導のNISAやiDeCoなど投資が出来る環境が良くなってきたこともあり、以前に比べたらお金の事を考える機会が増えたように感じます。しかし、興味がある人はそこから調べていって知識を得られますが、現状ではまだ知らない人が多く、一般教養としてのマネーリテラシーがある方はまだまだ少数派だと感じます。
私は3年ほど前にお金に関するYouTubeを閲覧した時に、自分がお金に対して知識がほぼ0出会った事に愕然として、少しづつ自分で勉強をしていきました。まだまだ知識は足りませんが、現在はNISAやiDeCoの制度を使い自分の許容範囲内で投資に取り組めるまでになりました。以前の自分であれば「株とか怖いからしたくない」や「お金はある程度貯金してるからあんまり心配はない」など言って現状維持していたと思います。知らない事はそれだけで損をする事だとこの本では教えてもらったと思い、年に1~2度程読み返すことがありますが、そのたびにお金の知識がなかったころの自分と今の自分を比べて知る事の大切さや知った知識を使う事の大切さを実感し、初心に戻れる大事な1冊となっています。
本書を読んだことがある方も、見たことが無い方も、この記事を見て下さる方にとってお金に関する知識の再認識ができると思いますので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
目次
- 本書のあらすじ
- お金持ちの人はどんな人?
- 黄金に愛される7つ道具
- お金と幸せを生み出す5つの黄金法則
- まとめ
①本書のあらすじ
本書は1926年にアメリカで出版された『The Richest Man In Babylon(バビロンいちの大金持ち)』を翻訳・脚本・漫画家されたものです。
古代の実際に存在したと言われるバビロニアを舞台にお金を貯める・守る・増やす原理原則が学べるという事で、当時資産家や銀行員などのお金のプロにも多く読まれベストセラーとなり今でも多くの人に読み継がれています。
現代には多くのお金に関する書籍がありますが、その原点になるであろう歴史のある本でもあります。本書が読み継がれている理由としては、”お金に愛される知恵を身に着ける事”、”働くことの大切さ”、”人との付き合い方”など、どの時代においても通用するお金だけではなく人としての大切な幸福になる為の真理が書かれてるからだと思います。
はじめから長くなってしまいましたが、簡単に本の内容を紹介します。
①現代に住んでいる元大学教授・考古学者の『大場拓也』は仕事をクビになりプータローで高校の非常勤講師をしています。結婚しており子供も1人いるが現在は離婚し現在は1人暮らし。うだつの上がらない生活の中で、友達からバビロニアがあった土地から”黄金の法則”が書かれた粘土板が採掘され、それを読解してほしいと頼まれる。一度は断ったが友達の再三のお願いに折れて読解を始めることから物語が始まります。
②粘土板の中身はバビロニア王国の首都で成功を収めた『バンシル』が、未来に向けた誰かに自分がどのようにして巨万の富を手に入れたのかを彫られたものでした。
バンシルは武器職人の息子で家はどちらかといえば貧乏といわれるほうでした。1日中働きづめの毎日を送っていました。バンシルは友人にお金持ちになりたいと話をして、お金持ちになる為には何が必要なのか、バビロンで一番の大富豪である『アルカド』にお金持ちになる為にはどうすればよいのかを聞きに行きました。そこでアルカドはお金持ちの定義と”黄金を増やす7つ道具”と言われる知恵の1つを教えてもらいます。その教えを半年間実行出来たら、バビロニアが定期的に開催している学びの殿堂においでと言われます。そこでは身分に関係なく色々な人が集まり忌憚なく意見を交わす場だった様です。
半年後に学びを続けてきたバンシルは学びの殿堂に足を運びます。講師として登壇していたアルカドはお金の講義を行い、様々な職種の人々にも通用するお金持ちのマインドや具体的な行動を示した”黄金に愛される7つ道具”というお金に対する知恵を受講者に説いていきました。
その講義から3日たった日、バンシルはアルカドに呼び出されました。そこでバンシルはアルカドから試練を言い渡されます。それは金貨がたくさん入った袋と、知恵の袋の2つの袋をもらい、バビロニアを出てこの金貨を倍にして戻ってくるという物です。さらに知恵の袋は1つの袋にぱんぱんに入っている金貨をすべて失うまで開けてはならないという厳しい試練でした。しかし、バンシルは即決でこの試練を受けると言い、バビロニアを発ちます。
そこからは紆余曲折あり、賭け事をして失敗したり、悪い仲間にお金を取られたりするなど様々な目にあい1文無しとなります。そのあと知恵の袋を開けたときに、1つの粘土板が出てきます。その中には黄金に愛される7つ道具である知恵を更に昇華させた真理が書かれていました。その内容は”「お金」と「幸せ」を生み出す5つの黄金法則”という物です。この粘土板を呼んだ後に、アルカドに教わった事を忠実に守りながら蓄えを増やしていき、3年で旅の目的であったお金を稼ぐことに成功しバビロニアに帰郷。約束の金額以上の稼ぎをアルカドに見せ、誰でもお金持ちになれるという事を証明して見せました。
帰郷後すぐにバビロニアは他民族からの侵略にあいます。場内に侵略者が入ってきましたが、何とか撃退に成功。しかしその時の争いの中で両親とアルカドが犠牲となりました。バンシルはそのショックな出来事をきっかけに生きる意欲をなくしてしまい街をさまよう放浪者となり色々な人から借金をしている状況となります。しかし、金貸しを生業としている『ダバシア』という人物から、”働いくことはお金を稼ぐことだけではない”、”お金を借りた人にはお金と一緒に恩も返せているか?”。”生んでくれた親や、知恵を授けてくれた師に恩を返せたか?”などの胸が熱くなる言葉をかけてもらい目が覚めます。そこから働いて借金を返すように働いていき、いつしかバンシルも富豪の仲間入りを果たします。そしてアルカドが行っていたような国の政策にもかかわるようになり、バビロニアの王女様と結婚を果たしました。
③粘土板を読解後に、大場拓也の心にも変化が現れました。非常勤講師だけでボロアパートに住んでいて、借金がある自分もこのバンシルが記してくれた7つ道具と黄金の法則を使って一生懸命仕事を頑張り借金を返し終わります。その後、お金を稼げるようになったのちに離婚した妻と娘の大切さを再認識し、復縁して物語は終了です。
本書は466ページの大変ボリュームがある本ですが、かなりはしょって内容を書いてみました。466ページあると言いましたが、漫画なのでスラスラ読めるので、ページ数は気にならないかと思います。また、本書の肝である”黄金に愛される7つ道具”と”「お金」と「幸せ」を生み出す5つの黄金法則”については、これから解説していこうと思います。
皆さんもこの黄金の7つ道具と法則を知る事で、お金という自由の土台を増やせる可能性が広がると思います。知っている人は復習がてら読んで頂けると嬉しいです。
②お金持ちの人はどんな人?
本書ではお金持ちとはどんな人なのかをバビロンの大富豪であるアルカドがズバッと言ってくれています。ちなみに皆さんはどんな人をお金持ちだと感じますか?
高級な車を何台も持っているとか、大きくて豪華な家に住んでいるとか、1億円以上持っている億り人となった人でしょうか?たしかにお金をたくさん持っているから出来る事ですが、アルカドからしたらそれは違うと言います。
”お金持ち”というのは『お金の増やし方を知っている人』の事を言うのだと、本書の初めに教えてくれています。そして、お金を増やすために必要な知識が7つ道具と黄金法則に記されているという事です。
私は本書を読むまではお金持ちのイメージとして、億以上の資産を持っていて、豪華な家に住み、高級な車を乗り回し、平気で高級ブランドの値札を見ないまま大人買いをするような人の事だと思っていました(偏見強めですね…(;^ω^))。
以前紹介した『お金の大学』の著者である両学長さんが動画内で本書を紹介していたので、初めてのマネー本としてこちらの本を読んでみました。最初の本がこの本で本当に良かったと感じています。いきなり株についての本だとか、とがった内容の儲けるための本だったら、お金に対する基本的で普遍的な考え方がわからないままで資産を増やそうと考えてしまっていただろうと感じたからです。今から資産を増やしたい・資産運用を始めようと考えている方には、是非一読して頂きたい内容です。次の項から紹介していく7つ道具や黄金法則を知っているだけでも価値がある言葉だと思うので、参考にして頂ければと思います。
③黄金に愛される7つ道具
ここでは、黄金に愛される7つ道具を紹介していきます。道具と言っていますが、実際にお金を増やすための便利な道具という訳ではありません。お金を貯めて・増やして・そのお金を守る為の知識を説いてくれています。それが
- 収入の1/10を貯金せよ
- 欲望に優先順位をつけよ
- 貯えたお金を働かせよ
- 危険や天敵から金を堅守せよ
- より良きところに住め
- 今日から未来の生活に備えよ
- 自分こそ最大の資本にせよ
この7つです。読む限りだと当たり前の事や簡単そうな言葉が多いと感じないですか?しかし、この当たり前を当たり前に出来る人がどれほどいるのでしょうか?1/10貯金も簡単そうですが、実際にやっている方がどれくらいいるのでしょうか?
この簡単そうで難しい7つを1つ1つ淡々と出来る人がお金に愛される人=”お金持ち”と言われる人になれると本書では教えてくれています。本書の内容はあらすじを参考にして頂いて、言葉ごとにフォーカスを当てて、紹介していこうと思います。
①収入の1/10を貯金せよ
これは言葉の通り、自分の手取りの賃金から1/10を貯金していき、手持ちのお金を増やしましょうという内容です。簡単ですね。例えば20万の手取りがある人であれば2万円は最初で手を付けないように最初で分けて貯金をして、残りの18万円で生活を出来る様にする。これだけです。最近は貯めるに特化した本で貯金方法に関する書籍も多く出ています。その中でも手取りの給与からあらかじめ貯める予定の金額を別の通帳に入れて管理し、その他のお金でやりくりしましょうという様な方法が多く紹介されていると感じます。これが出来るだけで、1年間で24万円の貯金がたまり、10年間続けると最低でも確実に240万円たまります。
やり方は色々あると思うのですが、まずは手元にお金がないと増やす為の元手となるお金が貯まらないという事になりお金持ちから遠ざかります。なので、何をするにもまずは手元に残るお金を増やすことから始めないといけないので、この”貯金する”という項目が1番目に来るんですね。
お金持ちになりたいけど貯金が無い!という人は、まずここの貯める部分を強化する必要があるので、自分に必要な金額を見積もって、貯める目標金額を定めて貯めてみましょう。1度決めた自分のルールを崩さず倹約していけば、この貯めるは比較的簡単だと感じます。
②欲望に優先順位をつけよ
これはお金の使い方に関する言葉です。先ほど例に挙げた手取り20万で考えてみましょう。
人は色々な欲望を持っています。人間の最大欲求である睡眠欲・食欲・性欲に始まり承認欲求・物欲など思いつく限りでも欲望には種類が多いです。有名な所ではマズローの欲求は段階説やブッダが提唱する7大欲求、欲求のリスト化を初めて行った心理学者、ヘンリー・マレーさんの『マレーの欲求リスト』は【心理発生的欲求(生理的欲求)】が27種類、【臓器発生的欲求(社会的欲求)】が13種類の合わせて40種類の欲に分類したものもあります。興味のある方は調べてみて下さい。
これほど私たちの中には欲求が渦まいているという事がわかっていただけましたでしょうか?この欲求を手取り20万である程度満たす事が出来るとしましょう。しかし、貯金をするとなったら使えるお金は18万になります。なんならもっと貯金額を増やそうと考えた場合、手元に残ったお金では貯金した金額分の欲求が満たせない状況となります。
美味しいものが食べたい、友達と遊びに行きたい、旅行に行きたい、など手取りのお金で出来る事を計算してると思いますが、いざ貯金を始めるとこの貯金額の分だけ出来ないことが必ず発生します。この時に必要なのが【欲望に優先順位をつける】ことになってきます。
よくよく考えたら、なんとなく惰性で日々続けていた事やあまり生活の質を上げるようなお金の使い方をしてないなど、自分のお金の使い方を見直していくと本当に必要な事にお金を使っていたのか?と気づけるきっかけとなります。
例えば、コンビニに寄るとあまりほしくないけどちょっとのど渇いたから飲み物を買っていたり、必要以上の食材を購入し冷蔵庫の奥で長らく眠りについている食材があったり、なんとなく洋服を買って結局着ていない洋服が多くなったり…とこんな経験がある方も多いと思います。しかし、これらの出費は自分が本当に望んで行ったものでしょうか?
このなんとなくで使ったお金を貯金に回すことができたら、もっと早く貯金は増えると思いませんか?もちろん我慢しすぎて生活の質や心に多大なストレスをためてしまうのは良くありません。しかし、食に関する事が好きなら他の欲に関しては目をつぶる、旅行で各地を回る事が趣味で生きがいだという人は、他の部分で倹約をするなどバランスをとる事が大切になります。
私も本書を読んでからなるべく倹約に努めるようになり、何も考えずお金を使っていたころと比べるとだいぶ欲望をコントロールできるようになった自覚があります。しかし、欲望というのは常に自分の近くでささやいてきます。「このくらいは使っても大丈夫だよ」と。なので、コントロールがある程度出来る様になっても、どこかでついつい無駄な出費をしたと感じる事もまだあります。しかし、ここで自分を責めてしまうとお金を貯める事のモチベーションが下がりやすいという事も経験しました。
なので、もし無駄にお金を使ったと感じたときは反省はしますが自分を責めないようにしています。それよりも、なぜここで出費をしたのか原因を考えて次から同じような無駄な出費をしない為にはどうすればよいかを考える様にしています。ちなみに私が無駄な出費を抑える様にしている習慣の一部として、コンビニには極力入らない、テレビを観ない、体を鍛える等です。
コンビニとテレビに関しては、目に便利アイテムやおいしそうな物を見なければそもそも欲求はそれほど湧いてこないからです。その空いた時間に自分のやりたい事に時間を当てれる様になりました。また、体を鍛えるのもおすすめです。体を鍛えだすと、体にいい食材や習慣を調べる様になり、逆に体に悪い物に対してわざわざお金を払って買うことに抵抗を覚える様になり、結果出費が減った感覚があります。私は甘党ですが、糖質に関しては昨今体への悪影響があるという本もたくさん出回っている事もある為、おやつを買う量やごはんを食べる量が減ったと実感しています。
話を戻しますが、この『欲望に優先順位をつける』は他の事よりも難しいと私は感じます。しかし、これは自分をコントロールする方法を見つけて、自分に合う方法がみつかればある程度出来るようになる実感もあります。その為にはお金を貯めるための目的、金額、期限を明確に決める事がおススメです。これを決めるだけで、頭がそのためにはどうすればよいかを考えてくれるからです。
最初から完璧にコントロールはできないと思いますので、トライ&エラーを繰り返しながら、自分が心地よく節約・倹約できる範囲を探ってみて下さい。そのラインがわかった時にストレスなくお金が貯まっていくとおもいますよ。
③貯えたお金を働かせよ
ここでは、①・②で貯めたお金(元手)を使って、さらにお金が増えてくれるようにしていきましょうというお話です。
先ほど紹介した方法で確実にお金は貯まっていきますが、資産が貯まるまでにかなり時間がかかると感じた方もいるのではないでしょうか?そこで、ある程度手元にお金が貯まったら、次はそのお金たちにも協力してもらい更にお金が増える仕組みを作りましょうという事です。結論から言えば、金利をうまく活用してお金が増える仕組みを作り、加速度的にお金が増えるようにしましょうという考え方です。
例えば10年で貯まったお金が240万だとしたら、そこから半額の120万円を年利10%で誰かに貸してあげます。1年後、月に2万円づつ定期的に貯金をしていたら24万円貯まるので手元にあるお金の合計は120万円+24万円=144万円です。そこに貸していたお金が帰った来たら144万円+120万円=244万円、ここから更に年利10%で貸していた相手からもらえる額が12万円となり244万円+12万円=256万円となります。
ここでの12万円は、6か月分の貯金額に相当します。お金を貸しただけで6か月分の貯金額が手に入るので、この1年間で半年分の金額が増えました。では次の年は200万円を同じ年利10%で貸し付けたとしたら…その次の年も同じように金利を味方にできたら…貯金だけでお金を貯めるよりも資産が増えるスピードが速くなることは明確ですね。
ここではわかりやすくお金の貸し借りによる金利を例に説明しましたが、その他の仕事でももちろん構いません。自営業をされている方でしたら、店舗数を増やしてお金が入ってくる窓口を増やす事や、不動産ではマンションや戸建を購入して家賃という収入減を増やす、株や債券を購入して配当をもらうなど、やり方は色々あります。
ここで大切な事は、”お金を使ってお金が更に増えてくれる仕組みを作る”という事にあります。しかし、もちろんこれにはリスクもついて回ります。そのリスクを出来るだけ回避するには、自分が選択した手法について学んでいくことが必要になるなど、それ相応の努力も必要です。しかし、資産を増やすためには大切な考え方となる為、自分に合った方法を探しながら実践していきましょう。
私は収入のあまりをNISAを活用してインデックスファンドに投資するようにしています。2024年からは生涯で出来る投資額の枠が拡充される事や非課税期間が無期限になるなど条件がより良くなり投資をする環境に追い風となっています。もしこれから株式などで資産拡大を考えている方は口座開設を検討されてはいかがでしょうか?
④危険や天敵から金を堅守せよ
ここでは、今まで貯めたお金を自分で守りましょうというお話です。
今まで紹介した①・②・③を実践して1000万円貯めたとしましょう。ある程度お金を持つようになると、そのお金を目当てに人が寄ってくることも多くなります。それは友達かもしれないし、商売の相手かもしれません。ここで大切なのは、”自分の資産を他人は守ってくれない”という事実です。これは他力本願ではなく自分の力で守っていくしかありません。
ある程度お金を持つようになると、色々な儲け話が入ってくる事や自分が試している手法以外にも興味が出てきます。今までお金を増やすことに成功してるから、自分は大丈夫。もっと稼げる、と妙な自信が出てくるようになります。そこで自分がそんなに詳しくない分野の儲け話に誘われてお金をだしたら損をした…という話は世の中にたくさんあります。ただの失敗ならまだいいですが、詐欺にあうケースやぼったくり商品を掴まされてたくさんの手数料を知らないうちに払っているなどのケースも往々にしてあるので、注意が必要です。
ここで大切なのは”まずは元金を守る事”と”その道に長けた人に相談する”ことの2点です。
”元金を守る”について、結論から言うと色々な儲け話がきてお金を出します!となった時に、手元にあるお金を全部ぶっこまないようにしましょうね、という事です。つまりお金は手元にある程度残しておきましょうという事ですね。たとえば、Aという儲け話が来たとして、その案件に元手を全部使ってしまうと、失敗した時に生活が立ち行かなくなったり、他の儲け話でお金を増やすチャンスが回ってきたときにチャレンジが出来なくなるからです。
なので手元にはもしお金を出した案件で損をしたとしても、生活に困らない程度の金額や他の儲け話にチャレンジできるだけの元手になる金額は残しておきましょうという事です。
次に”その道に長けた人に相談する”についてですが、例えばあなたが株式投資を勉強してある程度知識がついており資産も増やせていると仮定しましょう。そこにBさんから「株でお金が増えたなら、それを元手に不動産投資はどうですか?もっとお金を増やすことができますよ。安定した家賃収入や、節税効果もあるし、不動産を所有しているだけでお金が入ってくるから楽ですよー。」という誘いを受けたらどうせしょうか?なんか簡単そうだしやってみようかな?という気持ちになった方もいるかもしれません。
しかし、今言ったうたい文句はメリットを話しているだけで、不動産投資の全部を聞いたわけではありません。何をするにもメリットとデメリットは存在します。ですが、不動産に関しての知識は自分にはないので善し悪しの判断が難しいですよね?そんな時にその道に長けた人に相談してみましょう。この場合は実際不動産投資で成功された方や、不動産業界で仕事をしている人などが良いかもしれませんね。すると「株式と比べて、始めるための資金が安くても100万程度から必要で、マンションなどでは2000万程が必要になるケースもある。安定的に家賃収入があるわけではなく、空室や家賃滞納のリスクがある。購入する物件の立地と入居者の属性によって入居率や家賃の相場が変わる事がある。築年数が増していくと利益率が下がってくる。やめたいときにすぐに手放せず、現金化できないリスクがある。そもそもいい物件は不動産会社が所有している事も多いので、良い物件に巡り合える確率はそんなに多くはない。役所への手続き等や管理会社、賃貸仲介業者などとのやりとりがおおくなり手間も増える。地震や火災などのリスクがある。」など、初期投資額が多い事や、手間が増える事、購入する事自体のデメリットなど忠告を受ける事になるでしょう。そこを踏まえてどうしたいかを考えればいいでですが、最初のBさんだけの話を聞いてお金を出していたら後悔する事になっていたかもしれません。
自分の大切なお金を出す事は、今までの自分の頑張ってきた時間を投資するという事です。その努力の対価として得た物を得体のしれない儲け話に出す事が無いように、自分のお金は自分で守れるように【お金の守備力】も鍛えていきましょう。
⑤より良きところに住め
これは個人によって価値観が違ってきますが、ここでの話は”心を豊かにする投資”として大切だという話になります。
住居を決めるときに皆さん何を基準に決めましたか?大半の方は広い居住空間やそれに対する家賃がお手頃なのか?という基準で決める事が多いのではないでしょうか?
しかし、家に住むという事はそこでどのような暮らしをしたいかで変わってくるため、自分の状況や目的で家に対する条件も変わってくると思います。
例えば、仕事を生活の中心で考えている人は自宅が会社のオフィスの近くにあった方がいいので、ここでの1番の基準は『自宅と会社の距離』となります。家族の団欒を中心に考えている人では、家庭菜園や庭で遊べる、屋内でも走れる程度の広さなど『庭付きで居住スペースがなるべく広い家』が1番の基準になるかもしれません。資産形成を生活の中心に考えている人では、多少不便でも『家賃が低い物件』を選ぶのが1番の基準となるかもしれません。
居住空間はその人の幸せな生活と密接にかかわってきます。そして、その幸せを維持したり更によくするためにお金は必要な道具です。今ある幸せを守る為に貯金や投資に対するモチベーションもより高まるのではないでしょうか?そのためには自分がより良く生活できる生活の基盤として住む場所は非常に大切であると言えるのではないでしょうか?
”居住への支払いは心を豊かにする投資である”と本書でアルカドさんが説いていましたが、読んでてすごく共感しました。私は子供のころから賃貸戸建ての場所で生活しており、現在は両親ともに実家に引っ越しているので、幼少期~高校卒業まで住んでいた家には、新たに別の人が住んでいます。そこにもういけないのかと思うと少し寂しい気持ちになります。
そんな寂しさもあってか、私はマイホームを購入しました。家を買う基準は当初そこまで明確に決まっていませんでしたが、本書を読んだ後に購入した決め手は何だったかと考えました。そして1つ浮かんできたのは、家族でずっと一緒にいれて、子供が巣立った後も同じ場所に帰る場所があるという事に価値はあるかなと感じたのが、私がマイホームを購入した理由かなと感じました。
皆さんはどんな目的があって、どんな場所に住んでいますか?
⑥今日から未来の生活に備えよ
この話は将来についての不安に備えなさいよというお話しです。
現在は長寿化も進んでおり、人生100年時代と言われています。しかし、100歳まで現役でバリバリ仕事をこなして生活できるでしょうか?年齢を重ねていくと体の不具合が出てくる事も多くなります。病気を患い働けなくなるリスクも高くなります。もしそうなった場合に、貯えがなかったらどうなるでしょうか?
その不安を解消するためには、資産がどれだけあるかが大きな助けになると思います。①の貯金では投資をする為の元手を確保するための貯金として書きましたが、そこから資産形成を行っていって何のためにお金を増やしていくのか?その目的の1つに将来の為の貯えがあるかと思います。私も老後や傷病時に子供や妻に頼らず自分の資産でどうにかできる様にする為と、家族が困った状況になった時に助けられる様に資産形成を開始しました。
また、お金だけが助けとは限りません。自分が困った時に手を伸ばしてくれる『知人や友人』がいる事も、不安に対する自分の資産となりえます。
いざ自分が働けなくなったときに国や自分が住んでいる都道府県ではどのような支援が受けられるのか?それを知っているかどうかでもその後の生活が大きく変わってきます。不安に対抗できる『知識』があるだけでもいざという時行動が出来る備えとなりえます。
今あげたもの以外でも将来への不安に対して事前に準備できることはたくさんあるかと思います。不安に感じて動けなくなりよりも、行動して不安を少なくすることが、資産形成や生活の助けとなると思います。もし皆さんも今不安に感じている事があれば、目を背けないで向き合って考えてみて下さいね。その不安を取り除ける方法は必ずあるはずです。
⑦自分こそ最大の資本にせよ
今までの①~⑥を読んで頂き、お金を貯めて・増やして・守る事が大切であり、その方法もわかってきたと思います。
しかし、大多数の人は『知識』が手に入って「なるほどね。お金に関して①~⑥をすれば今よりもお金が増えてよくなっていけるんだ。」となりますが、実際にやり始めることが出来る人はそう多くないと思います。
ここでのお話は、『行動を起こしましょう』という事です。
せっかく学んで得た知識も、使わなかったら宝の持ち腐れとなってしまいます。人は変化を恐れる生き物である以上、現状維持バイアスがかかって『わかってるんだけど行動できない』人が多くいる事もわかります。
ですが、ここで今までの知識を使って、失敗を恐れずに行動できた人は遅かれ早かれある程度のお金が今よりも増えれいる事は確実です。世の中に絶対はありませんが、今回学んだ知識を『価値』に変えられるのは、学んだあとの行動であると思います。
もちろん行動にはリスクもついてくるし、一時的な損も発生するかもしれません。そこは自己責任で許容できる範囲の失敗にとどめられる様にリスクコントロールも大切になってきます。何かを得るためにはリスクをとって動かないと何も得られない事は皆さんもご存じと思います。そして、インフレ傾向になってきた日本では、動かない事もリスクになっている事も付け加えておきましょう。お金の価値が以前よりも目減りしてしまうからです。話が脱線するので今回はインフレについては置いておきますが、動かないでお金の価値が減るのを見てるだけにするのか、行動をしてお金を増やして自由の為の基盤を固めていけるのか、皆さんはどちらを選びますか?
④お金と幸せを生み出す5つの黄金法則
黄金に愛される7つ道具を学んで行動できているという方は、
これから初回する5つの黄金法則は、上記の7つ道具の+αの部分となってきます。
法則1:家族と自分の将来の為に収入の1/10以上を蓄える者の元には、黄金は自らを膨らませながら喜んでやってくるだろう
法則2:黄金に稼げる勤め先を見つけてやり、持ち主が群れを膨大に増やす羊飼いのように賢明ならば黄金は懸命に働くことだろう
法則3:黄金の扱いに秀でた者の助言に熱心に耳をから向ける持ち主からは、黄金が離れる事はないだろう
法則4:自分が理解していない商い、あるいは黄金の防衛に秀でた者が否定する商いに投資してしまう持ち主からは黄金は離れていくだろう
法則5:非現実的な利益を出そうとしたり、諜略家の甘い誘惑の言葉にのったり己の未熟な経験を盲信したりするものからは黄金は逃げる事になるだろう
この5つです。ゲームとかでありそうな何かの暗号なのかな?という様な書き方ですよね。書き方は難しいですが、要は自分の行動でお金は寄ってくるし、逃げる事もあるんだよという事を言っています。
1~3に関してはお金に愛される人の特徴、4~5はお金が逃げてしまう人の特徴を言っています。個人的に解釈した意味を込めてどういうことかを紹介したいと思います。
法則1では、将来の為にというところがポイントとなるかと思います。〇〇が欲しいからその時だけお金を貯める事は、結局欲しい物を買って浪費した後は貯金も続かずお金が増える事はありません。長期的な目線でコツコツとお金を貯められる人は、手元にお金がある状態で更に投資をしてさらに増やす事や、新しく事業を起こしてお金を稼ぐこと、継続してコツコツと貯金を増やしていくなどお金を増やす選択肢が増えます。そういう事が出来る人には自然とお金は集まってきますよという教えだと感じます。
法則2では、先ほど言った投資や事業などどこにお金を使うかで、更にお金が増やせる様になりますよという事です。ここでは持ち主が賢明ならという言葉が使われております。なので、ただ投資や事業をするのはNGで、それについて学びお金を増やせるという勝算がある場合に貯めたお金を注ぎましょうという話だと感じます。個人で株式投資を行うのであれば、ただ大手企業の株式をテキトーに買えばいいわけではなく、広く分散しながら色々な業種の株式をバランスよく買っていく事が大切ですし、起業するのであればこれから伸びていくであろう業種を見極めて仕事内容を選ぶ事が大切です。衰退産業を今から始めようとしても、それは尻すぼみになり事業としての規模も小さくなることは目に見えています。まずは情報を集めて自分で知識を蓄えて、適材適所にお金を使える人にはお金が更に増える環境となるでしょうという意味かなと感じます。
法則3では、自分よりもお金に対する知識がある人の話を真摯に受けとりましょうという話です。ある程度勉強をしたり知識が増えたとしても、お金の事を生業としている方にはかないません。例えばあなたが投資を始めようとして、Aという企業の個別株が良いのではないかと思って購入を検討していたとしましょう。そこに投資を生業としているプロの人から『A社は今高値で買い時ではないと思う。まだ購入はしない方がいい』と言われました。さて、あなたならどうしますか?ここで『自分はある程度勉強もしたし、このAの企業は買ってた方がいい気がする』と個人的な感情で購入したとすれば、きっと将来的に損をする事になるでしょう。もちろんプロだから絶対はありませんが、少なくともある程度勉強しただけのあなたより株の売買を行ってきたプロの方が分析力や指標の動きから予測する力は高いはずです。自分よりも知識や経験が豊富な人の教えは素直に聞いた方が良いという教えだと感じました。
法則4では、先ほど法則3で言った事の深堀バージョンでしょうか?インデックス投資を行ってある程度成功している人が、次の投資先として知識が不十分な不動産投資に手を出す事や、体に詳しいという利点を生かしてパーソナルトレーニングのジムを起業して成功した後に、あまり詳しくないけど体にいいと言われるサプリメントを作る会社を起業するなどです。インデックス投資がうまくいっているならそこで更に大きく成功すればいいし、ジムがうまくいっているのであれば2号店、3号店と店舗を増やした方が今までのノウハウを使えるからより稼ぎやすいと思います。もちろん違う分野の会社を作る事自体悪い事ではありませんが、ここで大切なのは知識やその道のプロの助言を聞かずに独断専行でやってしまうと痛い目を見る可能性がありますよという事です。
法則5では、短期間で資産を爆上げする手法は多くないし、それ相応のリスクがあるという話です。短期的にお金を増やす方法と言って思いつくのは、ギャンブルや宝くじが思いつくところだと思います。しかし、この方法はほとんど運任せのものなので、そこに学びやノウハウなどは存在しないと考えています。この方法で多額のお金を手にする人は確かにいるのですが、その確率はどの程度でしょうか?例えばジャンボ宝くじが日本では有名な宝くじの1つですが、1等が当たる確率は1/1000万と言われています。更に年末ジャンボでは1/2000万ともいわれており、これを引き当てられます!と自信がある人がどれほどいるでしょうか?仮に1等に当たったからと言って、そこに学びはありませんので来年購入したところで成功確率が上がるわけでもありません。冬のボーナスでお金があるから〇万円宝くじ買ったと聞いたことがあります。宝くじは夢を買っているとも言ってました。価値観はそれぞれなのでいいと思いますが、私はそのお金で本や副業の為のお金に使った方が未来の投資になると思ってしまいます。
また、謀略家の甘い誘いとありますが、例えばあなたが株式投資を始めたいと思っていたとしましょう。そこにある人から『今だけ、このA社に投資頂ける方を募集しています。もちろん元本は保証されますし、預けて頂いた金額の10%を月々の配当でお支払いします。そうしたら、10ヶ月で元本の金額が儲けとして入ってきます。今ここにいるあなただけにお伝えしていますが、こちらは投資していたける金額が多い方から投資して頂くようにしています。投資する人数の制限や期限がありますので、もしやりたいと思った方はとりあえずやってみる事をおススメしています。元本保証ですし、10ヶ月で元が取れる事が確約されている投資なので、やらない手はないと思いますがどうされますか?』と言われたら皆さんどうしますか?投資の利回りを知っている人はそんなの無理でしょと思い詐欺を疑うと思います。しかし、知識がない人からはすごくおいしそうな話だと思う人も少なからずいるのではないでしょうか?そして多額のお金を預けたのちに行方をくらまされてお金が無くなってしまう人が出てきてしまいます。自分だけにおいしい話は絶対に来ませんし、簡単にお金が増える事もありません。自分が学んで出来る事をやっていって資産を増やす事が一番の近道だと思いますので、皆さんもおいしい話が来ても冷静になって、それが自分にとっていい選択なのか判断してもらいたいと思います。
⑤まとめ
本書はお金に対する考え方の基礎となる知識が詰まっている大変参考になる本でした。今の時代はインフレが進んでいく感じですし、終身雇用制度も破綻している様な感じです。これまでは政府が主導で年金など老後の金銭を確保してくれていましたが、人口減の現在の日本ではこの制度でカバーできる金額にも限度があるように感じます。なので、自分で生活資金を確保する事やお金に関する知識も各個人で身に着けていかないとどんどん貧しくなっていく世の中になるだろうと考えています。
そうならない為にも本書で学んだ知識を行動に移していき、お金に困らない人生にしていきたいと私個人は思っています。また、自分が行動したことを子供たちにも教えていき、子供たちもマネーリテラシーを高めてお金に困らない人生にしてほしいと思います。
最後に本書で特に大切だと思った内容をまとめて終わろうと思います。
- お金持ちとは『お金の増やし方を知っている人』のこと
- 収入の1/10を貯金にまわす
- 欲望に優先順位をつける
- お金にも働いてもらいお金を増やしてもらう
- 貯めたお金を失わない為に、リスクマネジメントをする
- 実際に行動をしてお金を増やす
- わからない事はその道のプロの助言をもらう
- 「あなただけに特別な儲け話が・・・」なんてものは絶対にない
こんなところでしょうか?知識を身に着ければそれだけ行動するための選択肢が増えますし、危険から身を守れる可能性も高まると思います。色々な事を学んでいき、人生に彩を増やせるようにしていきましょう。
長文でしたが最後まで読んで頂きありがとうございました。